第七十四話
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に響き渡る。
ユカリは来客を告げるベルに玄関へと向かう。
「はーい。今開けますね」
玄関の扉を開けると既に日も沈んだというのに家の明かりですらその色合いを燻らせない金髪の少女と、どこか所在無さげに立つ少年だ。
エリカ・ブランデッリと草薙護堂である。
「えっと…」
ユカリが来訪者の意図がつかめずに言葉を詰まらせる。
「こんばんは、坂上紫さん。わたしはエリカ・ブランデッリ、今日はあなたと、こちらに居るはずのアテナに用事があるのだけれど、家に上げてもらえないかしら」
他人に自分の意見が通ることを疑わない。その傲慢さもエリカが言えばいやみに聞こえないから不思議だ。
「おい、勝手に上がりこもうとするなっ」
「大丈夫よ護堂。ただ人たる坂上紫に会いに来るアテナがすぐに事を荒立てる事はないでしょう。それに虎穴に入らなければ虎子は得られないものよ?」
「そう言う事ではなくてだな、お前にはもう少し常識と言うものを持ってもらいたい。普通こんな夕飯時は遠慮するもんだ」
と、着いてきておいて今更ながら常識人ぶる草薙護堂。
エリカと護堂の悶着にユカリの後ろから声がかかる。
「ほお、生きていたのか神殺しよ」
アテナが音も無く現れ護堂を視線で射抜いた。
「ああ、なんとかな」
ぶっきらぼうに返す護堂。
しかし、ユカリに自身での自己紹介も挨拶も無しに神が現れたからと会話をするのはいかなるものか。
「こんな所にたずねてきて、そなたは妾を討つつもりなのか。それこそ妾たちと神殺しの逆縁よな」
「まてまて、なぜそんな物騒な話になる。俺達はただ、なんで神様が普通の人と一緒に夕飯なんて取っているのかと疑問に思ったんだよ」
アテナはエリカなんてそこらの路傍の石のようにしか感じないのか視界にも写ってないかのように護堂にのみ問いかける。
エリカもカンピオーネと神との対話に混ざる不敬はしまいと口をつぐんでいる。
とは言え、どうしても聞かねば成らないことがあれば自身で問いただすのだろうが…
「ふむ…今の妾はそこの人間…ユカリの願いを聞き入れている立場ゆえな。彼女の願いゆえ妾はここに居る」
そこで護堂とエリカの視線がユカリに向いた。
「一体どういう願いなんだ?」
と、ここに来て護堂はユカリに問いかける。
ユカリも常識人ぶって実はその場の流れに乗るのがうまい悪癖をもつ少年、護堂の失礼さはとりあえず横においてアテナに話しかけた。
「話してもいいの?」
「よい。こやつらの目的は妾が何故ここに居るのかの調査と言った所よな。その割には神殺しが直々に参るとはなかなか大仰なことだ」
ユカリは了承を得ると護堂とエリカに向き直る。
「私が寿命で死
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