第5幕:後悔する権利
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ってしまいましたけどね」
そこまで聴いたツルギは疑問に思う。「その自殺騒動は本当に自殺なのか?」と。
「つまり、愛人の息子に次期総裁の座を譲る為に娘と妻を始末しなくてはならなくなった言う訳です。ですが、普通に暗殺すれば、愛人とその間に出来た息子さんに疑いの目が向いて逮捕の憂き目に遭っては本末転倒と考えたのでしょう。そこで―――」
ツルギはようやく合点がいき始めた。
「全力で娘と妻が自殺した理由と原因を探したぁ」
メカネは力強く頷いた。
つまり、次期総裁争いで図らずも対抗馬になってしまった妻と娘を蹴落とし、愛人の息子に次期総裁の座を譲る為に、邪魔になった妻と娘を自殺に見せかけて殺した……と言う事である。
「そこに自殺した事になっている娘の父親にとってご都合主義的にやって来てくれたのが、ガラ君が長年犯し続けてきた自己中心的な言動でした」
「つまり……父親はまったく無関係である筈のガラさんを娘と妻が自殺した元凶に仕立て上げたと言う訳ですね?」
「ええ。だから、何も知らない上に本当は無関係な筈のガラ君が、本当は黒幕だった父親の娘と妻が自殺した理由が自分だと勘違いして出頭した時は、本音を言えば大変迷惑でしたよ」
「ガラさんが娘と妻の自殺の元凶として逮捕されれば、ガラさんに全ての罪を押し付けて幕引き出来る……からですか?」
「まあ、我々はその時点で自殺した事にされている娘の自殺理由とガラ君の言動との辻褄が合い過ぎる事に疑問を持っていましたし、ガラ君から受けたいじめを苦に自殺した娘の後を追って母親が自殺した割には、元凶であるガラ君への恨みが不自然と思える程少なかった印象を受けましたので、勇気をもって出頭したガラ君には色々と言いくるめて御帰宅願った……と言う次第です」
ツルギは溜息を吐きながらツッコミを入れた。
「犯人達に現在の捜査状況を悟られない様にする為とは言え、当時の説明が足りなかったのでは?」
そのツッコミにメカネは恥ずかしそうに告げる。
「確かにその通りかもしれませんね。本当に反省材料です」
「で、ガラさんの悪質なイジメが原因と言う事になっている連続自殺を、貴方達管理委員会は『自殺に偽装した虐待死』って線で決着をつけちゃったから、ガラさんはそれを自身の逮捕を不当な理由で却下したと勘違いして、その事に逆ギレしたと?」
そのツッコミにメカネは恥ずかしそうに告げる。
「まったくもってその通りです。で、自殺の原因として逮捕される筈だった自分が、何時の間にか不当な理由で逮捕を取り消され、周囲から『毒親から悪友を護りきれなかった弱者』と罵られ続け……後はご存知の通りです」
聞かされた事の顛末に呆れるツルギ。
「何ですかそれは?無関係な筈のガラさんが、まるでピエロじゃないですか?」
つまり、ガラはまったく無関係な家族同士の殺し合いの出汁
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