九話 林檎の欠片達
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素材もこだわるからね、木材採取には護衛として付き合ってもらうわよ、それとリコも一緒に連れてくからね」
「え?」
その申し出にリコが不意をつかれハッと顔を上げる。
「それぐらい構わないが、リコも一緒なのはどうしてだ?護衛としてはやりづらくなると思うんだが」
「そんなに強力なモンスターが出るところに行くわけじゃないから、転移結晶も持っていくし。リコは料理スキルも高いからお弁当作ってきてもらえばやる気が違うのよ、苦労かける分あんたにも少しぐらい分けてあげるわ。リコ、そういうわけで手間かかるけどお願いしていい?」
「私は構わないけど……」
「よし!じゃあ遅くならないうちに料理素材も買いに行かなくちゃね。リコの勝負服も見繕わなきゃだし、明日朝の九時に転移門に集合ね、それじゃ!」
「ちょっとマリちゃん!?」
早口でまくし立てるとマリはリコの手をとり引きずるように店を出て行ってしまった。不機嫌なのか上機嫌なのかわからない態度の少女に呆気にとられていた少年たちはしばらく少女たちを見送った体勢のまま固まってしまっていた。
「変なテンションだったが、マリは一体どうしたんだ?」
「害の無い病気みたいなもんだろ、気にすんな」
「そうか……さて、そういうわけで明日予定が入ってしまったんだが、お前らはどうする、一緒に来るか?」
シュウが尋ねるとアルバとトールは揃って首を振りその誘いを断る意向を示す。
「俺は遠慮するよ、丁度明日はたまったドロップアイテムを知り合いの雑貨屋さんに売りに行こうと思ってたんだ」
「俺もパス、お邪魔になるからな。こっちもアイテム少したまってるし、トールに着いていってみようかなー」
「――そうか、悪いな」
「気にすんなって、トールなんか私用抜け常習犯なんだしよ」
「おい……そんな言い草はないだろう」
からかいあいながら次第に話題を明日の予定にシフトさせていくアルバとトール。会話を交えながらシュウはそんな二人を密かに、思いつめたような瞳で見ていた。
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