第二十九話 星の女神その二
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「本当に厄介だから」
「あんな気持ち悪いもんないわ」
施も実に嫌そうに話した。
「蠅に卵産みつけられてな」
「その蠅の幼虫が身体の中におるの見るとな」
羅も言った。
「ぞっとするわ」
「背筋に寒気が走るな」
「獣やモンスター見ても怖ないけどな」
「あの姿はな」
「ほんまぞっとするか」
「気持ち悪くてな」
「あたいもよ、だから気をつけてね」
アレンカールは羅と施にも話した。
「くれぐれもね」
「ああ、そうするな」
「自分等がそうなると洒落にならんさかいな」
「そうならん為にもや」
「気を付けるわ」
「これもトラップのうちかしらね」
アレンカールはこうも言った。
「この塔の」
「そやろ、罠は別に落とし穴とか釣り天井とかだけやない」
芥川もそれはと言った。
「こうしたな」
「虫もなのね」
「入るってことや」
「そうなのね」
「僕もこの蠅大嫌いや」
芥川にしても嫌悪に満ちた顔であった、その蠅を見る目は。
「ほんまな」
「そうよね」
「そやから皆の身体にな」
「虫よけスプレー使ってるわね」
「そうしてな」
そのうえでというのだ。
「この階は進んでるんや」
「最初から刺されへん様に」
「そや」
「そういうことね」
「ほんま虫もな」
彼等もというのだ。
「トラップや」
「そのうちの一つね」
「蚊も蠅も、それにな」
芥川は足下も見てアレンカールに話した。
「足下は普段通り浮かしてるが」
「足下を虫を刺されない様にということね」
「蠍や毒蜘蛛もおるんや」
この階にはというのだ。
「そうした連中にもな」
「気を付けてよね」
「足下は靴を履いてな」
見れば十人共確かな靴やブーツだ、草履やサンダルの者はいない。
「それが身を守ってるが」
「それだけでもね」
「足りんわ、蠍の針なんてな」
蠍を象徴するそれはというのだ、この世界でも蠍は存在していてかなり恐ろしい存在して知られている。
「下手な靴やとな」
「貫くものもあるわね」
「そやからな」
そうしたものだからだというのだ。
「くれぐれもな」
「注意して」
「そしてや」
そのうえでというのだ。
「靴やブーツだけやなくな」
「術で浮かんで」
「用心に要人を重ねてるんや」
「そういうことね」
「足下にもスプレーかけてるけど」
綾乃はそれでもと言った。
「そやけどね」
「そや、こうした場所は特にや」
「地を這う生きものが多いさかい」
「用心してな」
そうしてというのだ。
「最初から浮かんでな」
「他の階と同じくやね」
「用心することや」
「そういうことやね」
「さもないとな」
「刺されて毒にかかるね」
「毒にやられても術で解毒出来るけどな」
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