第八十八話 通天閣その十五
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「私何とも思わなかったわ」
「そういうこともあって」
「それでね」
「サイダーとラムネはなんだ」
「同じ様なものだってね」
それこそ誰もが飲む様なというのだ。
「そうしたものだってね」
「思っていたんだ」
「今もね、コーラもね」
今自分が飲んでいる飲みものもというのだ。
「同じだってね」
「同じ炭酸飲料だから」
「思ってるけれどね」
「そすいた感じだね」
「ええ、私からしたら」
「けれどそれがなんだ」
古田はキスの串カツを食べつつ言った。
「昔はね」
「そんな感覚だったのね」
「ラムネは駄菓子屋さんでも売っていて」
昭和三十年代頃のだ、子供が行く店でありこの頃は駄菓子と漫画は子供にとって悪いとされていたらしい。
「そこでもね」
「飲んでたのね」
「けれどサイダーはね」
こちらはというのだ。
「駄菓子屋さんじゃね」
「高くて」
「それでラムネと比べて」
「高かったのね」
「そうした感じだったみたいだよ」
「そんな風だったのね」
「そんなこと聞いたよ」
こう理虹に話した。
「どうやらね」
「そうなのね」
「まあ今じゃね」
「正直差がないわね」
「そうなったよ」
「ラムネもサイダーも」
「飲みたい方をね」
その人がというのだ。
「飲めばいいよ」
「そうなるわね」
「それで僕はね」
「今はサイダーね」
「それを飲んでるよ、それとね」
「それと?」
「次もね」
二杯目もというのだ。
「サイダーをね」
「飲むのね」
「そうするよ」
「サイダーもいいわね」
「そうだよね、炭酸じゃなかったら」
この場合のことも話した。
「みっくちゅじゅーちゅかな」
「ああ、あれも美味しいわね」
理虹は笑顔で応えた。
「甘くてね」
「それもかなりね」
「それがいいのよね」
「色だってね」
「黄色でね」
「いいよね」
「私苺の方も好きよ」
こちらのみっくちゅじゅーちゅもというのだ、尚片仮名で書くとミックスジュースになる。藤山寛美の好物だった。
「あちらもね」
「甘くてね」
「いいのよね」
「大阪のジュースでね」
「あの味もね」
それもというのだ。
「親しみやすくてね」
「いいわよね」
「うん、まあああいう飲みもの見たら」
古田は串カツを食べつつ笑って話した。
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