第37話 救出 後編
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君達はこの郡を出る必要がある」
「劉ヨウ様。これは受け取れません。命を助けて下さっただけで十分でございます。これ以上、劉ヨウ様にご迷惑をお掛けする訳にはまいりません」
父上は劉ヨウ様に竹簡と布袋を返そうとした。
「父上。助けて下さると言っているのに何を躊躇なさるのですか?大守に捕まってやる道理などありません。裁かれるべきは大守です」
私は声高に父上に言った。
「娘さんの言う通りだ。君達は無事に泰山を出て、あなたがやろうとした事をやり遂げて欲しい。だから、これは遠慮せずに受け取って欲しい」
劉ヨウ様は真剣な表情で私と父上に言った。
「見ず知らずの私達にどうしてそこまでして下されるのですか?」
父上は劉ヨウ様に対し疑問に思ったことを聞いた。
「君達親子を助けたのは私の我が侭だ。君達を見捨てて後悔するくらいなら、先の苦労を被ろうと行動した方がましだと思った。お陰で私は今回、沢山の人間に迷惑を掛けることになった。だから受けて貰えないか?君達もこのまま大守に殺され、命の恩人の私達が窮地に立つのは望まないだろ」
劉ヨウ様は苦笑いをしながら言った。
父上は劉ヨウ様の話を黙って聞いていた。
四角四面が取り柄の父上も劉ヨウ様の言葉には折れるしかなさそうだ。
意地を張って義侠の行動をした恩人を窮地に追いやるなど父上には無理だと思う。
「劉ヨウ様。私は臧戒と申します。私は大守の不正を糾弾しようとしました。結果はこの有様ですが・・・・・・。劉ヨウ様のご厚情を有り難く受けさていただきます。あなた様の為にも私は必ずや大守を糾弾してみせます。このご恩は娘共々終生忘れはいたしませぬ」
父上は涙を流し謝意を示し頭を深く下げた。
「・・・そんなに気にしなくても良い。私がやりたくてやったことだ」
劉ヨウ様は父上の名前を聞いて一瞬驚いた顔をしていた。
どうしたのだろ。
「榮奈!何をしている。お前もお礼を申し上げないか!」
父上が私の方を見やって怒り出した。
「父上。そんなに怒鳴られなくても聞こえています」
父上に剣呑な態度で言った。
劉ヨウ様に向き直ると背筋を伸ばし拱手した。
「劉ヨウ様。ありがとうございます。ご恩は一生忘れません。無事逃げ仰せることが叶えば、私を家臣にしてください」
劉ヨウ様に感謝の礼と共に仕官を願いでた。
厚かましいと願いと考えたが、この機会を逃してら劉ヨウ様に仕官する機会などないと思った。
目の前の人物はエン州で知らぬ者等いない義侠の人だ。
私達の為に身の危険も顧みず助けてくださった人だ。
これ以上の主人は居ない。
「何を言っておる!劉ヨウ様。申し訳ございません。」
父上は私が劉ヨウ様に仕官を
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