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ドリトル先生と桜島
第十幕その九

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「けれどその素顔はどうか」
「笑ってるメイクをしてるけれど」
「その実はね」
「わからないね」
「リア王の道化師もおどけていてね」
 そうした仕草でというのです。
「リア王に的確なことを言うね」
「辛辣にね」
「あの作品の特徴だね」
「その一つね」
「ピエロが悪役の作品も多いね」
 先生はおうどんを食べる時も赤ワインを飲んで言いました。
「そうだね」
「ホラー映画とかファンタジー小説でもね」
「漫画でもね」
「悪役の定番の一つよね」
「ピエロっていえば」
「だからピエロの素顔を見るべきだよ」
 メイクの下のそれをというのです。
「笑っていない、むしろね」
「悪い顔をしている」
「そんな時あるよね」
「実際にね」
「本当に人や組織はよく見ないと」 
 さもないと、というのです。
「政治以外でも騙されるよ」
「そうだね」
「そうなるね」
「日本もイギリスもだし」
「他の国でもよね」
「うん、僕も気をつけないとね」
 自分のことも思う先生でした。
「本当にね」
「僕達に任せて、先生」
「先生には僕達がいるよ」
 オシツオサレツがここで二つの頭で言ってきました。
「何時でも何処でもね」
「絶対に傍にいるからね」
「先生は私達がいないとね」
 ダブダブも言います。
「本当に世の中のことはからっきしだから」
「先生の為に僕達がいるんだよ」
「そうなのよ先生」  
 チープサイドの家族も先生に言います。
「だからね」
「いざって時は任せてね」
「先生が苦手なことは僕達もわかってるよ」
 ホワイティも言いました。
「スポーツと世の中のことだから」
「スポーツはこの場合は関係ないけれど」 
 それでもと言うトートーでした。
「世の中のことはね」
「家事も私達とトミーがしてるし」
 ポリネシアも言います。
「王子だっていてくれているから」
「若し先生に何かありそうなら」
 チーチーは強い声で言いました。
「僕達がいるからね」
「先生は絶対に大丈夫だよ」 
 ガブガブは断言しました。
「何かあってもね」
「そう、先生に悪いことをする人がいたら」
 ジップの声も強いものです。
「僕達が全力で守るしね」
「騙されない様にもするよ」 
 老馬もいます。
「先生がね」
「皆がいてくれるとね」
 先生も皆の声を受けて言います。
「僕も有り難いよ」
「うん、任せてね」
「本当にね」
「僕達がいるから」
「世の中のことはね」
「家事だってね」
「そうさせてもらうね」
 先生は笑顔で応えました。
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