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X ーthe another storyー
第二十八話 交錯その十一

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「今日も」
「それでは」
「いい場所ですね」
 星史郎は声も笑みにさせて話した。
「あちらも」
「落ち着きますね」
「最初から僕達の場所としてです」
 庚がいる都庁の地下はというのだ。
「準備されてです」
「用意されていたもので」
「そうした場所なので」
 だからだというのだ。
「落ち着くこともです」
「当然ですか」
「そうです」
 まさにというのだ。
「それはまた」
「そうなんですね」
「ですからこの戦いの間はです」
「俺達はですか」
「戦いがない時はです」
「あの場所で、ですね」
「くつろぐことです」
 自分達の居場所であるからだというのだ。
「是非、そして皆で楽しい時間をです」
「過ごすことですね」
「そうです、またこうした時が過ごせるとは」
 星史郎は今度はこんなことを言った。
「思いませんでしたが」
「星史郎さんとしては」
「はい、とても」
 そうだったというのだ。
「自分で背を向けたので」
「そうなのですか」
「かつては」 
 封真に後悔を感じさせるほんの僅かだがそうしたものが感じられる声で言った、そしてさらに言うのだった。
「そうでしたから」
「だからですか」
「僕はとてもです」
「今の様にですね」
「誰かと一緒に落ち着いていられる時を過ごせるとは」
「思わなかったのですか」
「ですが今はです」
 封真に善哉を食べながら話した。
「それで出来てです」
「幸せですか」
「これ以上はないまでに」
「そうですか」
「ですから」
 それでというのだ。
「思い残すことはあと一つです」
「あと一つですか」
「やるべきことがありまして」
 それでというのだ。
「それを済ませますと」
「もうですか」
「思い残すことはありません」
「あの、星史郎さん」
 封真は彼のその言葉によくないものを感じて顔を曇らせて言った。
「今のお言葉は」
「死ぬ様なですか」
「そうしたものなので」
「ははは、戦いですから」
 封真は封真の今の言葉に笑って返した。
「どうしてもです」
「死ぬこともですか」
「あるので」
「だからですか」
「言ったまでで」
 それでというのだ。
「特に気にすることはです」
「ないですか」
「お気になさらずに」
 こう封真に返すのだった。
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