合同温泉旅行開始
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父さんの背中を流すね」
「あら、面白そうね。美香さん。私たちも背中の流し合いをしましょうよ」
「はい。たまにはそういうこともいいですね」
母さんと伯母さんも乗り気で話している。
「なら俺も玲音の背中を流してやろう」
「いや、別に。自分でできる」
「もう何年も一緒に風呂に入ったりもしていないんだし、それくらいはいいじゃないか」
「やりたくない」
玲音がにべもなく断ったから、伯父さんが肩を落とした。
僕は言葉を掛けてみることにした。
「玲音も背中を流してもらえばいいのに」
「それだけじゃなくて、玲音君は健太さんの背中を流してあげないのかい?」
「そうよ。こんな機会は何度もあるものじゃあないんだから、背中の流し合いくらいやってあげなさいよ。玲音」
思わぬところからの援護だ。父さんと伯母さんも伯父さんのことを気遣っているのだろう。
「そう言われても……」
「やってあげたらどうですか? 玲音君」
「叔母さんまで。……わかった。やるよ」
皆から言われたことで、玲音もやることを決めたようだ。
「よし! なら早く温泉に行くか」
伯父さんは凄く嬉しそうに笑みを浮かべて、少し歩く速度が早くなった。
僕たちは一名を除き、微笑んで伯父さんについていった。
そして温泉に着き、男湯と女湯に別れて背中の流し合いをした。
最後には面倒臭そうにしていた玲音も僅かに笑みを浮かべていた。
体が洗い終わると、皆で温泉に浸かって寛ぎ始めた。
「そうだ。翔夜。好きな子とかできた?」
「えっ?」
出し抜けにそんな質問をされて、思わず声を出してしまった。
「おお、そういえば玲音にこの手の話を聞いたことはなかったな」
「親父もかよ……」
玲音も同じように聞かれて、うんざりしている。
「それで、どうなの? 翔夜、玲音君」
「別にいないよ」
「俺もいません」
僕と玲音はきっぱりと答えた。
「そうか……。玲音はともかくとしても、翔夜君なら彼女の一人くらいはいても不思議ではないと思っていたのだがなあ」
伯父さんは残念そうにため息を吐き、父さんは腕を組んで何かを考えているようだ。
「僕は学校では目立たないように過ごしていますからね」
「翔夜は普段からこんな感じで、勉強も運動も平均の少し上くらいの力しか出さないんだよね」
父さんはどうしようもない、といった感じで手を上げた。
「だって、あまり注目されたくないんだもん」
「うーん。翔夜君は勉強も運動もできて、その上明るく優しいから凄くモテると思ってたんだがなあ。家の玲音と違って」
「悪かったな。無愛想で」
玲音は口をへの字に結んだ。こういう表情をするから無愛想に見えるというだけで、玲音は本当に優しくて面倒見があると思うけどなあ。
「いや。僕は玲
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