第一章
[2]次話
人妻って現実はどうなのか
向田澄香は川崎友吾と結婚して名字が変わった、そのうえで夫の家に入ったが。
「何もないの？」
「何もって？」
「だから結婚したなら」
まだ独身の友人に喫茶店で一緒にいる時に冗談を言われた、澄香は大きなやや垂れた黒目がちの目で左目の付け根に泣き黒子がある。眉は細長く見事なカーブを描いている。長い黒髪を今は後ろで団子にしていて小さな丸井感じの頭で紅の唇は小さい。耳と鼻は奇麗な形で一六〇程の背で胸と尻は九十はありウエストは引き締まっている。黒いストッキングと同じ色の短いタイトスカートに青のブラウスといったスタイルだが胸がブラウスからも目立っている。
「あれよ」
「あれって？」
「だから結婚したらあるでしょ」
「まさかと思うけれど浮気？」
「不倫とかね。結婚してもう一年でしょ」
「あの人の実家に入ってね」
夫のというのだ。
「そうよ」
「あんたは浮気する性分じゃないけれど」
真面目な澄香のそうしたことも話した。
「そうしたお話はね」
「ないわよ」
きっぱりとだ、澄香は断った。
「そんな気配なんてね」
「ないの？」
「ないわよ」
「だってね」
友人はこう言った。
「あんた旦那さんのご両親と同居してるんでしょ」
「ええ」
その通りだと答えた。
「そうよ」
「それで旦那さん弟さんいて」
友人はさらに話した。
「高校生よね、しかも和風の大きなお家で」
「そのこともあるの」
「昔ながらのお米屋さんとかクリーニング屋さんが来て」
そうした人が出入りしてというのだ。
「旦那さんの上司さんや同僚や後輩の人達だって」
「うちによく来るわ」
「しかも旦那さん出張があったりして」
それでというのだ。
「お家留守にしたりもあるでしょ」
「あるけれど」
「旦那さんのご両親や弟さんお家にいたり」
「日中お義父さんとお義母さんいない時も多いわ」
澄香は自分から言った。
「その時は私がお家に一人でそこでお米屋さんとかクリーニング屋さんもね」
「来るのね」
「セールスマンの人もね」
「そうよね」
「ご近所のお付き合いもあるし」
「全部揃ってるじゃない」
まさにとだ、友人は澄香に言った。
「あんたは」
「浮気の条件が？」
「例えばよ」
友人はさらに話した。
「旦那さんの弟さんとお家で二人きりで」
「あの子となの」
「あと旦那さんが出張で」
そうした時はというのだ。
「旦那さんのお父さんが夜にこっそりとか」
「夜這い？」
「あんた和室で寝てるでしょ」
「夫婦のお部屋そうだしね」
「お布団敷いて寝てるのよね」
「浴衣でね」
寝る時の服の話もした。
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