暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
AXZ編
第163話:虎穴に入らずんば虎子を得ず
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く溜め息を吐くと、奏とマリアを交互に見ながら言葉を発した。

「方法ならあるわ」
「「えッ?」」
「改良型LiNKERの感性を手繰り寄せる、その最後のピースを埋めるかもしれない方法がね」

 まだウェル博士から受け取ったレシピの解析には取り掛かっていないが、彼はレシピの再現には愛が関わっていると言うキーワードを残した。
 人間の身体機能の中で、愛が如実に影響を与える部位は1つしかない。それは脳領域だ。ウェル博士のLiNKERのレシピを完全に紐解く為には、愛がどのように作用しLiNKERが装者の脳のどの領域に影響しているのかを調べる必要がある。

 愛などと言う不正確で不確かな存在に意味を持たせ、それを化学的に利用してみせた彼は間違いなく生化学者としては素晴らしい部類に入るのだろう。性格には大きく難ありだが。

「鍵は、マリアさんのアガートラームと奏さんにあります」
「アタシとマリアが?」
「アガートラームの特性の一つに、エネルギーベクトルの制御があります。最近の戦闘の土壇場で度々見られた発光現象……あれは、脳とシンフォギアを行き来する電気信号が、アガートラームの特性によって可視化。そればかりかギアからの負荷をも緩和したのではないかと、ボクは推論します」
「マリアとアガートラームは何となく分かったけど、何でアタシまで?」
「奏ちゃんはここ最近の適合係数の上昇率がとても高いわ。その証拠に、最近LiNKERの投与量が明らかに減っているでしょう? マリアちゃん達と同じくLiNKER服用組であるにもかかわらず」

 言われてみれば、ここ最近はあまりLiNKERを投与する事もその洗浄処理も頻度が下がっていた。お陰で体調はすこぶる良く、快適な日々を過ごせていた事は確かだった。

「でもそれは、先輩が訓練で適合係数を伸ばしてきたからじゃねえのか?」
「もしくは颯人が負担を肩代わりしてくれてるからとか」
「勿論それも理由にはあるでしょうが、最大の原因は奏さん自身にあると私達は考えています。ですので、マリアさんと奏さん、お2人の脳内に残された電気信号の痕跡を辿る事ができれば……」
「LiNKERの作用する場所が解明する……だけど、そんなのどうやって?」

 それこそまさにウェル博士に頭を下げなければ分からないだろうが、しかし既に彼には頭を下げてしまっている。また赴いて頭を下げても、屈辱の時間を過ごすだけで何も得られるものはない。
 だが、エルフナインにはその問題をクリアする手段があった。

「――ついてきてください」

 エルフナインが一行を手招きする。了子を始めとして全員がそれについて行くと、辿り着いたのはエルフナインに与えられた研究室。そこで彼女は、マリア達にコードに繋がったヘッドギアを見せた。

「これは……?
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