蛇足三部作
『彼らの道は再び交差する』
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て、奴は軽やかな笑声を上げた。
「ははっ! 嬉しいな、死んでいる間に腕が鈍っていないか心配していたが、杞憂のようじゃないか!!」
「貴様こそ、平和ボケして腕が落ちた訳では無さそうだな!」
――己の刀が奴の頬を切り裂く。
赤い血が吹き出たかと思うと、直ちにその傷が修復されていく。
――奴の持つクナイが己の腕を斬りつける。
そうすれば血の代わりに傷口から紙片の様な物が飛び散っていく。
己が見つめる中、愉悦を帯びた双眸が細められて、愉しそうに喉が鳴らされる。
火影として、千手の長として振る舞っていた頃には決してしなかった――獰猛な獣を連想させる表情を浮かべ、かつて己の前から姿を消した仇敵は哄笑を上げる。
「ああ、やっぱりお前と戦っている時が一番面白い! こう言うのもなんだが、またお前と戦えて楽しいよ!」
認めてくれている。その事実がどうしようもなく心を歓喜させる。
生き生きとした黒い瞳に映っている己もまた好戦的な笑みを浮かべているのに気付いて、内心で苦笑するしか無かった。
「来いよ、我が好敵手! 昔みたいに仲良く踊ろうぜ! なんだったらリードしてやろうじゃないか!!」
銀光が煌めいて、鮮やかに奴の姿を彩る。
踊る様にその両足が地を踏めば、その地点から命を与えられた樹木が息吹いて、絡み合ってはその太さを増していく。
「相変わらず、癪に触る――先に踊り疲れるのは貴様の方だろうよ!」
「それはどうだか! 久方ぶりにお前と手合わせ出来て、私はとても気分がいいくらいだからな!!」
燃え盛る業火が芽吹いていく木々を一息に焼き尽くす。
それを背景に高らかに笑うのは、長年求め憎み続けた仇敵の鮮やかすぎる姿だった。
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