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木の葉芽吹きて大樹為す
蛇足三部作
『彼らの道は再び交差する』
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を見間違えたとしても、この仇敵だけは間違えたりなどしないと断言出来る――故に愚問であった。

 その一方で、強い断定の口調に術者の男が気圧された様に押し黙る。
 暫くの間沈黙がその場を支配するが、その空気を払拭するように術者の男が再度口を開いた。

「では……長らく姿を隠していた貴方が何故此処に?」
「なに、大した事じゃないさ。生者に死者を戦わせるのは少々忍びないと思ったのと――」

 それまで流水の如く滑らかに綴られていた言葉が、ぷつりと途切れる。
 その態度を訝しく思って飄然と佇んでいるその姿を睨めば、凛とした面差しに好戦的な笑みが浮かぶ。
 凪いだ湖面を連想させる様な黒瞳に漣が立ち、鋭い刃を思わせる輝きが一瞬奔った。

「何ら難しいことじゃない。私が、マダラ――お前と戦いたいと思っただけさ」
「……っ!」

 真っ直ぐに、緑の輝きを帯びた瞳が己を射抜く。
 己の胸の内が、歓喜とも、喜悦とも言い難い“何か”で満たされていく。
 憧れ、追いかけ、求め続けていた相手が、看過出来ない敵として己の存在を認めてくれていたのだ。

 ――――その事実は間違いなく、己の心と欲求とを満たしてくれた。

「このオレの、一世一代のお誘いだ――無論、断わるなどというつれない返事は言わんよな?」
「……まさか。こちらとしても有象無象との相手には飽いていた頃だ」
「それでこそ我が好敵手! ――そうこなくちゃ!!」

 鮮やかに奴が笑ってその眼差しを鋭い物とすれば、それまでの気安い空気が一変して、触れるだけで切れそうな気配が奴を包み込む。
 忍び達が気圧された様に息を飲むのを、どこか苛立ちを交えた気分で耳にした。

「――オオノキ君、我愛羅君。今すぐ全員をこの場から離れさせろ」
「しかし……!」
「貴様から誘って来たと言うのに、余所見をするとはな!!」

 地を蹴って、須佐能乎の刀で一刀両断を狙う。 
 その細い体を両断しようとした霊器の一撃は地面から伸びて来た大木の幹によって塞がれ、須佐能乎の刀と巨木の幹とがかち合って粉々に砕け散った。

「そう急くな! オレとしてもお前との久方ぶりの殺し合いだ。とことん気兼ねなくやり合いたいから、なっ!!」

 足下を狙った一撃を大きく後方へと跳ぶ事で躱せば、結われていない長い黒髪が羽の様に広がる。
 追撃の刃は木錠壁の壁によって防がれ、叱咤の響きを宿した声音が再度戦場に響き渡った。

「そら急げ! オレの技は大掛かりなんだ! 手加減したままで勝たしてくれる柔な相手でもないし!」
「っ、分かったってばよ! 皆、急げ!!」

 逡巡も束の間、自分達の間の力量の差を直ぐに理解したのだろう。
 一人、また一人と忍び達が戦場を離脱していく。
 その様を横目で見やっ
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