蛇足三部作
『彼らの道は再び交差する』
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生用に反忍術を用意していたって訳だ」
外套の下から覗いた容貌を目にした忍び達――特に木ノ葉に属する者達が騒ぎ出す。
当然だろう。あの里に属している限り、常日頃からあの顔を目にして過ごしていたのだから。
「初代火影様……?」
「馬鹿な……! とっくに亡くなられて……まさか!!」
「カブトの穢土転生か……!?」
警戒して臨戦態勢に入る忍び達に対して、奴は柔らかく微笑む。
敵意も戦意も示さない慈愛に満ちた微笑みに、忍び達が武器を握る手に込めた力を弱めたのが分かる。
「安心しろ。確かにオレは一度穢土転生によって現世に引き摺り戻されはしたが、今はその縛りから逃れている。――寧ろ、今のオレの存在は生者に近いと言っていい」
その言葉を証明するような、目と肌の色。
ひび割れの無い肌色と生気に満ちた双眸を見せつけられて、連合の忍び達が歓声を上げる。
戦場のあちこちで喜色を帯びた叫びが上がる中、軽く肩を竦めた奴はやや恨みがましい目でこちらを睨んだ。
「……こう見えて、現世に戻って来てからはかなり大変だったんだぞ。上手く術の縛りから逃れて弟を黄泉路に送り返したのはいいけど、オレは術の副作用で何故だか生き返ってしまったし、気づけばヒルゼン君は蛇顔の忍者に殺されかけているし……世界を放浪している間に命を狙われちゃうし、なんか知らないうちに色々な所で細胞は利用されているわで――……ほんっっとうに大変だった」
何故だか最後の一言にやけに力が籠っている様な気がしたが、それは己に対する皮肉だろうか?
軽く首を傾げていれば視線が外されて、土影と風影と共に様子を見守っていた金髪の忍びへと向けられる。
オレンジ色の派手な忍服を纏って木ノ葉の額宛をしているその忍びは、奴の顔を見て動揺した様子を隠さなかった。
「――ナル君、ありがとうね。諦めないでいてくれて、本当に嬉しいよ」
「へ? それより……本当に初の姉ちゃんなのか!?」
不躾に指を指す相手に不快を示す事なく、朗らかに奴は頷いただけだった。
どこか面白そうな奴とは裏腹に、金髪の忍びは混乱を隠す事無くあたふたと両手を振り回す。
「――え、え? アスマ先生をあのゾンビヤローから助け出した後、どっかに雲隠れしたと思っていたら、まさか本当に初代火影だったのか……? でも、初代火影って、男だったんじゃ……?」
「まあ、生前は基本的に男性として振る舞っていたからね。そのせいで私が、つまり初代火影が、女であると知っていたのはほんの一握りだった。――だからこそ、蘇ってから女として振る舞う事は、私の正体を隠すための最高のカモフラージュになったんだけどね」
ちらり、と緑の輝きを帯びた黒瞳が己の方を見やって悪戯っぽく瞬く。
お前は知っていたか、と
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