もう一人は……
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「えっと、風宮祐人だよな? 俺は織斑一夏だ。よろしくな」
「ああ。ところで一発殴らせろ」
「ちょ、ストップ!」
俺は拳を固めると慌てて織斑は待ったをかける。
「い、いきなり殴るなんて酷くないか?」
「そうか?」
「何でそこで疑問形なんだよ! おかしいだろ!」
「いや。何かお前の頭を見ていたら殺したくなった」
「……冗談だよな?」
「冗談だと思うか?」
俺は睨みつけると、降参だとばかり手を振る。
「でも、何で女装なんてしていたんだよ?」
「……知りたいか?」
「いえ。すみません」
教えてやってもいいが、こいつには教えたくない。
そう思っていると織斑の後ろから女生徒が一人こっちに来ていた。
「……ちょっといいか?」
「え?」
どうやら織斑は気付いていなかったらしい。
「どこの誰だか知らないが、悪いな。こいつの頭を割らないといけない」
「おい!」
「冗談だ。どうぞ。二人っきりで話したいんだろ」
「すまないな」
そう言って織斑の腕を取り、彼女はどこかに連れていってしまった。
俺はようやく去ってくれたと言わんばかりに別のことに取り掛かろうとすると、
「―――ねぇねぇ」
隣に座ってる女生徒から声をかけられた。
「なん―――」
………は?
思わず思考が停止してしまい、一瞬だけだが見惚れていた。
(何? こののほほんとした女の子は……?)
俺は鞄の中に入れているお菓子―――チョコレートを開けると、その女の子は目を輝かせた。
(……欲しいのか?)
ここ最近、俺は頭を使うことが多くなってきているので糖分を欠かしていない。だから減るのは惜しいんだけど………
(この子を見ていると、あげたくなる……)
何でだろうか? まぁいいか。
俺はチョコレートを半分割ってからアルミホイルを破き、それを渡す。
「わーい。ありがと〜」
その女生徒はすぐにかぶりつく。
「ねぇねぇかざみん」
「何だ? というか誰だ?」
「布仏本音だよ〜。よろしくね〜」
第一印象……お菓子好きのマイペースな女の子。
「それで何だ?」
「…どうして女装なんてしてたの〜?」
その言葉と同時に興味津々とばかりに耳を傾けてきた。
「知りたいか?」
「うん!」
「……まぁいいだろう。俺は知っての通り二人目の男性操縦者だ。だがそれはニュースに流れていなかったから今まで知らなかっただろう?」
「うん」
「その予防策として―――何故か女装する羽目になった」
「なるほど〜」
………本当に納得してくれたのか?
少し心配になったがとりあえず様子見をしておく。
「…
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