一家団欒
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断ち切り、戦闘方面に全神経を切り替えて一礼をした。
試合、開始だ。
「はっ」
そう小さく息を吐いて全速力で相手の右側に踏み込んだ。そして少し体を捻り、右手の剣を首元目掛けて左から一閃。相手の剣に弾かれるが、その直後に左の剣を右下から胴目掛けて斜めに一閃。
しかしその攻撃は鋭いステップで回避されて、その流れのまま気合の籠った声と共に横薙ぎの一撃。
「せい!」
相手の一撃を斜め後ろに跳びながら、素早く戻した両手の剣で受ける。
「くっ」
後ろに跳ぶことで威力を軽減したのにも拘わらず、少し手が痺れた。
だがその力に逆らわず、相手の剣の威力も利用して大きく距離をとった。
まだ僅かに動き出しが遅い。そんな風に自己分析をしながらも、相手から目を逸らさない。
一瞬、視線が交差した。
僕は即座に思考を振り払い、大きく息を吐いて思い切り地を蹴った。
「はっ!」
こちらの切り下ろしに、相手は回避を選択。僕はすぐにもう一方の剣も振って相手に攻めさせない。
それからもこちらはスピードと手数を重視して、動き回りながら相手に攻撃させる隙を与えないように立ち回り、相手は攻撃を全て避けたり弾いたりして、一撃の威力を重視した僅かな隙を衝くカウンターを多用した。
集中力がどんどん上がっていき、感覚が研ぎ澄まされていく。それによって剣を振る速度が更に上がる。
──絶対に、勝つ!
そう心の中で決意して、より一層強く、速く剣を振るう。
こちらが微かに圧されてはいるが、一進一退といっていい攻防が五分以上も続いた。すると決着の時が来た。
右の剣を相手の脇腹目掛けて右に一閃。相手は少し下がって避けるが、僕はもう一歩踏み込み、体の捻りも加えた左の剣を相手の額目掛けて右上から全力で斜めに振り下ろした。
「はあっ!」
「ふん!」
その攻撃に対して、相手は剣を少しだけ大きく振って弾いた。
相手にできたごく僅かな、しかし無視できない隙。
──ここだっ!!
その一瞬に全てを掛けて右手の剣を一閃。
しかし相手の剣も自然な流れで振り抜かれた。
その隙が罠だったと気づいたときには遅かったが、それでも僕は諦めずに右腕を振った。
そして……。
僕の剣は相手の首元に、相手の剣は僕の左の脇腹に当たる寸前で止められていた。
「「……」」
お互いに無言で剣を引いて定位置に戻り、再び一礼をした。
「「ありがとうございました」」
試合が終わった。
休憩に入ってから、師範代の高嶺恭介さんと先ほどの試合についての話を始めた。
「恭介さん。お疲れさまです」
「ああ、お疲れ」
「それで、僕の動きはどうでしたか?」
「そうだ
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