罪
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とアイツを殺せ』
だが、スカルはコエムシを無視してハルトを凝視する。
「……お前。名前は?」
「松……いや」
ハルトは首を振った。
その顔にファントムの紋様を浮かび上がらせながら、ハルトはその名を告げた。
「ドラゴン」
「……その名を、お前は仲間に言ったのか?」
「言ってない」
「ならば、その名を言ってみろ。それを、お前の仲間たちにも伝えろ」
「……!」
「それで離れるのならば、それはお前の仲間ではない。そして、そんな者たちしか縋れないのならば、お前はここで、俺の命の糧となる。だが、」
スカルは帽子を目深にかぶる。
「お前がそれを仲間だと言い、伝える覚悟があるのなら___そう、決断できるのなら___まずは俺の前で数えろ。お前の……罪は何だ?」
罪。
その言葉を胸で繰り返しながら、ハルトは逡巡する。
だが、スカルは付け加える。
「ここには俺とお前しかいない。ここで何を言ったところで、何も問題はないだろう」
『おい、オレ様がいるだろうが!』
「黙れ」
スカルはその一言で、コエムシを沈黙させる。
いたたまれなくなったコエムシは、体を震わせながら、発生したオーロラにその姿を晦ました。
「俺は……」
コエムシに目を配ることなく、ハルトは続ける。
「俺はずっと隠してきた……! 自分が人間じゃない、怪物だってことを……みんなから拒絶されるのが怖くて、言い出せなかった……!」
「……」
「クトリちゃんが、実は怪物だったと知ったとき……心の底で、実は……ホッとしていた……! あの子を看取った時、悲しかったのはきっと……同類だったから……!」
「……」
「俺がいたから、さやかちゃんは俺と同じ怪物になってしまった……! ファントムになるのは、近くにファントムがいた時にゲートが絶望した時……あの時、俺がいて止められなかったから、さやかちゃんはファントムになってしまったんだ!」
「……」
「今回も、俺は、みんなを巻き込んでしまった……可奈美ちゃんはケガまでして……俺は、どうすればいいのか分からない! どんな顔をしてみんなに会えばいいんだ!?」
「それはお前が自分で見つけるしかない。……小僧」
スカルは、少しだけこちらに歩み寄る。風が吹き、スカルのマフラーがなびいた。
「もし、お前が仲間たちを信頼したいと思うのならば、それを俺にぶつけてみろ。ただの死人である俺程度を倒す覚悟を見せろ」
「……スカル」
「お前の罪は分かった。ならば、今度はその償いをしろ。その第一歩が、俺を超えることだ」
風が吹く。
それは、ハルトの手を引く。
前へ。
スカルの方へ。
そして、スカルは告げた。
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