第百九話 生と死その六
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「咲っちが読んでる作品で言ってる通りよ」
「そうですね」
「生きていてこそね」
「何かが出来ますね」
「だから咲っちもね」
「生きることですね」
「若し自分で自分のやるべきことが終わったと思っても」
主観でそうであってもというのだ。
「まだ何かやることもね」
「あったりしますね」
「人の運命や寿命は自分ではわからないでしょ」
「まさに神のみぞ知るですね」
「そうよ、人は知らないのよ」
こう言うのだった。
「それは神様仏様がね」
「知ってることですね」
「命の蝋燭があるっていうけれど」
落語等でも出て来る、それがなくなった時その人の寿命が潰えるというもので死神が絡むのが話の常だ。
「それは普通人が見られないし」
「本当に神様仏様が見てですね」
「定めることでね」
そうしたものでというのだ。
「自分が人生のお務めを果たしたと思って」
「もうやることはないと思っても」
「それでもね」
「まだ何かあったりしますね」
「そうよ、だからね」
「最後まで生きることですね」
「命がなくなるその時までね」
「寿命までですね」
「人間の義務って一番はそれじゃないかしら」
真剣な顔でだ、副部長は咲に話した。
「寿命まで生きる」
「そのことがですか」
「第一でその次に社会的な義務とか天命とか」
「そういうのが来るんですね」
「そう思ったりもするの、私は」
「そうなんですね」
「だからね」
それでというのだ。
「私も絶対に寿命まで生きるし咲っちもね」
「寿命まで生きることですね」
「それでどんな辛いことあっても怪我や病気をしてもね」
「諦めないことですね」
「今日隣のクラスの子が交通事故に遭って」
「そうみたいですね、そのことがあって」
咲はこのことを副部長にも話した。
「さっき漫画の漫画も読みました」
「そうだったのね」
「助かってよかったですね」
「大怪我だけれど後遺症もないそうだし」
「不幸中の幸いですね」
「そう、やっぱり生きていてね」
「よかったですね」
咲は心から思って言った。
「本当に」
「何よりよ、大怪我で済んだらね」
「まだいいですね」
「生きているから何度でも立ち上がれるわ」
「副部長もそう思われますか」
「ええ。実際にね」
まさにというのだ。
「そう思うわ」
「そうですか」
「いや、それをね」
ここで副部長は少し苦笑いになって話した。
「楽天もして欲しいわね」
「副部長楽天ファンですか」
「お父さんとお母さんが東北生まれでね」
「それでなんですか」
「どっちも楽天ファンで」
東北を拠点にしているこのチームのというのだ。
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