第百九話 生と死その四
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「その通りだって」
「生きていたらなの」
「何かが出来るって」
その様にというのだ。
「言っていまして」
「それね、死んだらね」
そうしたらとだ、副部長は言った。
「終わりよね」
「何も出来ないですね」
「そうよね」
咲のその言葉に頷いた。
「それはね」
「そうですよね」
「いや、自殺とかね」
副部長は苦い顔で述べた。
「そんなことはね」
「したら駄目ですね」
「死んだら終わりよ、その時絶望しても」
「生きていればですね」
「やり直せるし巻き返せるから」
「その通りですね」
「失恋とかで自殺するとか」
副部長は眉を顰めさせて言った。
「ウェルテルとか馬鹿よ」
「ウエルテルって」
「若きウェルテルの悩みよ」
「あのゲーテの」
「あの作品の主人公好きな人が結婚してね」
そうしてとだ、咲に話した。
「絶望してね」
「自殺するんですね」
「そうなの、けれど自殺して」
「それで終わりか」
「確かに失恋って辛いけれど」
それでもというのだ。
「生きていたらね」
「乗り越えられますね」
「そうよ、どんなに辛くても」
失恋で受けた心の傷がというのだ。
「生きていたらね」
「乗り越えらて」
「それでね」
そのうえでというのだ。
「また別の恋愛にね」
「向かえますね」
「そうなるわ」
「だから自殺なんてですね」
「どんな酷い失恋しても」
「したら駄目ですね」
「それだけはね、人に笑われても」
その失恋のことをというのだ。
「絶対にね」
「自殺は駄目ですね」
「そうよ、死んだらね」
「それで終わりですね」
「だから何があってもね」
「生きることですね」
「どうせ死ぬにしても」
命あるものはというのだ、副部長は命あるのならば誰もが必ず死ぬものであることもわかっているのだ。
「けれどね」
「それでもですね」
「死ぬのは天寿を全うしてで」
「それまではですね」
「何があってもよ」
「生きることですね」
「そうよ、頑張ってね」
必死にというのだ。
「そうしてね」
「生きることですね」
「例え応援しているチームが暗黒時代に入っても」
それでもというのだ。
「暗黒時代も終わるしね」
「何時かはですね」
「調子の悪い、運がない時だってね」
「ありますね」
「生きていたらね」
どうしてもというのだ。
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