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新オズのリンキティンク
第十幕その三

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「あの六番もいいのう」
「ああ、あの人ですか」
「あの人もレジェンドですよ」
「第二次世界大戦前の人ですが」
「あの人も有名です」
「凄かったと言われています」
「そうなのじゃな、これはじゃ」
 リンキティンク王はこうも言いました。
「最強の四番五番じゃな」
「そうですね、これはです」
 王子は驚嘆した声で応えました。
「ベーブ=ルースさんとルー=ゲーリックさんに匹敵する」
「最強の四番五番じゃな」
「お二人は三番四番でしたが」
「この二人はな」
「最強の四番五番です」
「これは強いわ」
 リンキティンク王は心から言いました。
「それで当然じゃ」
「そうですね、ただ相手チームもです」
 王子はこちらのチームのお話もしました。
「今日は登板していませんが」
「ピッチャーか」
「あの十四番の」 
 この背番号でというのです。
「足を思い切り上げて投げる」
「あの右ピッチャーか」
「あの人凄いですね」
「そうじゃな、一六〇キロは普通に出ておるな」
「それだけの速球を投げて」
 そうしてというのです。
「物凄いカーブ投げてますね」
「シュートもあるがな」
「あのカーブときたら」
 それこそというのです。
「物凄い落差ですね」
「滝から落ちる様な」
「三段に曲がる様にさえです」
 そこまでというのです。
「凄い落差ですね」
「あれはドロップじゃな」
 リンキティンク王はこの球種だと言いました。
「昔で言う」
「今は落ちるカーブとか言いますね」
「そうであるな」
「はい、その落ちるカーブがです」
「凄いな」
「そうですよね」
「あの人もレジェンドですよ」
 ナターシャが言ってきました。
「二次大戦前の」
「日本のか」
「はい、日本だとです」
 ナターシャ達が今暮らしているお国ではというのです。
「まさにです」
「レジェンドのか」
「物凄いピッチャーなんですよ」
「そうなのじゃな」
「まさかあの人もオズの国に来ておられるなんて」
 ナターシャは驚きを隠せないお顔で言いました。
「凄いですね」
「うむ、わしも今思い出したが」
 リンキティンク王はナターシャに応えつつお話しました。
「あのピッチャーは凄いぞ」
「王様から見てもですね」
「並のピッチャーではない」
「速球とカーブが」
「何しろ名立たるバッター達をな」  
 それこそというのです。
「次から次にじゃ」
「三振に取るんですね」
「そうじゃ、黒と黄色のチームの十一番の人も凄いが」
「その人もですね」
「凄いのう、それでじゃが」
 ここで王様はこうも言いました。
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