第六章
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「私がいるのにそうした漫画がね」
「好きなんだな」
「そうなのよね」
「そうしたものは必要なんだよ」
鷲尾は強い声で言った。
「本当にな」
「そうなの」
「男って生きものにはな」
「そう言うと恰好いいけれど」
「いや、現実だからな」
格好良くではなくというのだ。
「これは」
「そうなの」
「そうだよ、少なくとも浮気するよりいいだろ」
胡桃にこうも言った。
「こうしたもの買ってお世話になる方が」
「浮気は論外でしょ」
これが胡桃の反論だった。
「幾ら何でも」
「そうだろ、じゃあ奥さんが妊娠したりしてな」
「出来ない時はなの」
「お世話にもなるしな」
真顔での言葉だった。
「それで罪にもならないし」
「いいのね」
「そうだよ、だから俺は今もな」
「夜の前の発奮にも使って」
「そうした時にお世話になる為にもな」
「写真集買って集めてるのね」
「そうだよ」
まさにというのだ。
「学生の頃からでな」
「まあ浮気しないならいいわね」
胡桃はあらためて言った。
「それなら」
「そうだろ、胡桃ちゃんの彼氏さんだって浮気しないだろ」
「そうした漫画集めてるから?」
「そうだよ、浮気とかしないならな」
「そうしたものがあってもいいのね」
「そうだよ、だから俺はこれからもな」
またこう言う鷲尾だった。
「アイドルの娘達の写真集やっていくわ」
「どうかとも思うけれど悪いことじゃないのはわかったからいいわ」
これが胡桃の返答だった、そしてだった。
鷲尾は写真集を集め続けた、そんな彼の世間の評判は一見いやらしそうだが紳士で女性を大切にするというものだった。浮気もせず真面目だと言われ続けた。
写真集が欲しい理由 完
2023・7・27
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