第二章
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「あと釈由美子さんもな」
「ああ、あの人もグラビアしてたか」
「それで買ったんだな」
「あの人の写真集も」
「そうさ、俺の一推しはかとうれいこさんだけれどな」
この人だがというのだ。
「古本屋で安かったからな」
「だからか」
「しっかり買ったんだな」
「そうなんだな」
「ああ、そしてな」
そのうえでというのだ。
「モーニング娘とかAKB系の人だってな」
「集めてるか」
「今の人達も」
「そうしてるんだな」
「ああ、これからもな」
鷲尾はクラスメイト達に笑顔で言った。
「写真集集めてくよ」
「そうか、まあ頑張れよ」
「別に犯罪でもないしな」
「どんどん買っていけよ」
「そうするな」
笑顔で言って実際にだった。
鷲尾は写真集をアルバイトまでして購入費を調達したうえで集めていた、だがある日のことだった。
家に来た母の妹の娘で彼から見て従妹にあたる五歳の女の子の胡桃あどけない顔立ちで黒髪を伸ばしている彼女が部屋に来た時にこう言われた。
「お兄ちゃん女の人の写真一杯持ってるね」
「写真集っていうんだよ」
鷲尾は胡桃に笑顔で答えた。
「これはな」
「写真集?」
「ああ、写真をまとめて一冊の本にしたんだ」
大島優子写真集最初に出たそれを手にして話した。
「それが写真集なんだ」
「そうした名前なの」
「ああ、若しな」
ここでだった、鷲尾は。
明るい笑顔になってだ、こう胡桃に言った。
「胡桃ちゃんがアイドルになったらな」
「そうしたら?」
「写真集出してもらえるぞ」
こう言うのだった。
「そうしたらな」
「そうなの」
「アイドルになったらな」
このことを強調して言った。
「写真集出してもらえるぞ」
「そうなの」
「ああ、なるか?」
「私大人になったら消防署員になりたいから」
胡桃は自分の夢を言って答えた。
「だから」
「それでか」
「うん、アイドルはね」
「なるつもりないか」
「消防署の人恰好いいから」
何故消防署員になりたいかも言った。
「だから」
「そうか、アイドルにはならないか」
「だから写真集もね」
これもというのだ。
「別にね」
「出してもらいたくないんだな」
「うん。ただね」
ここでだった、胡桃は。
ふとといった口調でだ、鷲尾に対して言ったのだった。
「お兄ちゃん何で写真集集めてるの?」
「えっ!?」
この質問にはだった、鷲尾は硬直した。そして返答に窮してしまったが胡桃はその彼にさらに尋ねたのだった。
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