孤島編 悪魔の鉄人と気高き処女姫 最終話
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ックは気付きかけていたようですし……私もとうに知っているのですよ。本人達ですら知らない、彼らの……アーヴィング兄妹の正体を。
――1980年代にこの国で起きていた、王位継承争い。その政争の中で当時の第2王子は、第1王子派による暗殺から逃れるため、合衆国政府の手を借りてアメリカに亡命された。そして、アメリカ人としての国籍を得た元第2王子の新たな名は……アラン・アーヴィング。
――2人の子宝に恵まれたそのお方は、大恩あるアメリカに報いるため、旧シェードの蛇型怪人に暗殺されるまで……合衆国政府直属の特務捜査官として、命の限り尽力されていた。
――そして、彼が遺された2人の兄妹。ロビン・アーヴィングとヘレン・アーヴィングは、亡き父上の無念を背負って捜査官となり。妹のヘレンは奇しくも、任務としてこの国に還って来た。……数奇な巡り合わせがあったものですね。
――40年前の政争のことは、あなたも深く悔いておられたのでしょう。故に弟君の「忘れ形見」を、1人でも王族として迎え入れようとお考えになった。そのための「箔」を付けさせるために……アイアンザックの計画を察知していながら、マス・ライダー軽装型が完成するまで敢えて彼を泳がせていた。
――しかし、それは決して許されることではありません。彼女はあくまでヘレン・アーヴィングという1人の人間。ご自分が「お世継ぎ」に恵まれなかったからといって……あなたの独り善がりな「贖罪」に、彼女を利用させるわけには行きません。
――あなたの思惑があろうと無かろうと、彼女はこの先も特務捜査官として戦い続けるでしょう。それが結果として、この国を守ることにも繋がります。しかしそれはヘレン・アーヴィングという一個人の矜持であり、この国の王族としてではありません。どうか、それだけは忘れないで頂きたい。
――過去に囚われているあなたに、彼女の将来を決めさせはしません。ゆめゆめ、お忘れなきよう……国王陛下。
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