第一章
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海と木から生まれた男女
サハリンの東岸の話である。
ある時柳の脂から男が生まれた、そしてシラカバの脂から女が生まれた。
男と女はすぐに出会った、そして男から言った。
「結婚して共に世界を築かないか」
「世界を?」
「そうだ、今ここにあるのは木々だけだ」
「そして海ね」
「他には何もない」
その状況を見て言うのだった。
「これをだ」
「変える為にも」
「世界を築こう、我々が結婚して人をもうけ」
「人をなのね」
「我々は人だ」
男は言い切った。
「木から生まれたが今そう定めた」
「その人が世界ということね」
「そうだ、私達が人をもうけ」
そしてというのだ。
「他の生きもの達もだ」
「もうけて」
「世界を築こう」
「じゃあ」
「いいだろうか」
男は女を見て問うた。
「これからだ」
「世界を築くのね」
「そうしたいがどうだ」
「わかったわ」
これが女の返事だった。
「私もこのままでは寂しいと思うし」
「私の考えに賛成してくれるか」
「そうよ、ではね」
「私達は今から夫婦だ」
「そして世界を築いていきましょう」
二人はこう話してだった。
その場で結婚し夫婦となってだった。
共に考え語り合いそうして服も狩りや釣りの道具を作っていきまた家も築いていった、そうしていってだった。
子供のもうけ方は本能に従った、そのうえでもうけたが。
まずは青い目の男女が七人生まれた、そして。
その直後に今度は頭が禿げた七人の男女が生まれた、男はその十四人の子供達を見て首を傾げさせて言った。
「これには何の意味があるのか」
「わからないわね」
女も首を傾げさせて応えた。
「どうにも」
「そうだな」
「ええ、けれどね」
「何もないということはないな」
「そうね」
二人で子供達を見て話した。
「これはきっとね」
「意味があるな」
「ええ、ではこの子達をね」
「育てていこう」
夫婦で話して十四人の子達を育てていった、すると。
ある日頭の禿げた七人の子達は姿を変えた、それぞれ鳥や熊や鹿、狼それに魚になりそれぞれ旅立っていった、そのうえで木々から出たつがいと結ばれ共に暮らし増える様になった。そしてだった。
青い目の子供達はそれぞれ結婚し人を増やしていった、男はその状況を見て自然と笑って女に言った。
「これでもうだ」
「大丈夫ね」
「世界は人と獣で満ちてだ」
「後は人と獣が全てを築いていくわね」
「そうなる、我々の役目は終わった」
男は笑顔のまま言った。
「もうな」
「そうなったのね」
「だがだ」
それでもとだ、男は女に言った。
「実はこの世界には神々がいる」
「神々が」
「そうだ、多く
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