第四章
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「それでな」
「人間はその中で生きているか」
「人間にはわからないものなんだよ」
「そうか」
「ああ、だからな」
「努力していくことだな」
「そうだよ、仕事をしていってだ」
そしてというのだ。
「他のこともな」
「努力していくんだな」
「一生懸命な、そうした意味で予定説はな」
カルヴァン派のそれはというのだ。
「俺はクリスチャンじゃないけれどな」
「いいか」
「ああ、人間真面目に生きていれば」
「運命が定まっていてもか」
「きっと天国に行けるしな」
それにというのだ。
「満足もな」
「出来るんだな」
「そうだよ、運命ってのはどうせ全部決まってるってな」
そう思いというのだ。
「諦めるものじゃないんだよ」
「決まっている中でか」
「頑張るものだよ、その頑張ることだってな」
「運命か」
「そうだよ、もう神様仏様の力なんてな」
人間を超越した存在はというのだ。
「人間の考えなんて及ぶか」
「そんなものか」
「だからな」
それでというのだ。
「もうその中でだよ」
「一生懸命やっていくか」
「それで今の人生を生ききってだよ」
そうしてというのだ。
「次の人生でもな」
「一生懸命やるんだな」
「次の人生が人間とは限らないけれどな」
宇都宮にビールを飲みつつ笑って話した。
「俺達が今食ってる焼き鳥のな」
「鶏肉か」
「冷奴の原材料の豆腐だって可能性もな」
生まれ変わればというのだ。
「あるな、けれど人間じゃなくてもな」
「そこでもか」
「必死に頑張っていけばいいんだよ」
こう言うのだった。
「それはそれでな」
「そういうものなんだな」
「ああ、それが運命の中で生きるものだってな」
「お前は考えてるんだな」
「そうさ、それで時にはこうしてな」
「息抜きか」
「それをするんだよ」
飲みつつ言うのだった。
「たまにな、じゃあな」
「ああ、今はな」
「一杯飲んでな」
「それから家に帰るか」
「そうしような」
焼き鳥に冷奴を食べてだった。
佐竹は宇都宮と共にビールを楽しんだ、そして次の会社の身体検査で少し尿酸値が高いと出てこれは運命だと言った、そのうえでビールから焼酎に切り替えたのだった。
運命論者 完
2023・2・12
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