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運命論者
第二章

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「人間はな」
「滅ばないでか」
「今も続いているんだ」
「予言は当たらないんだな」
「その本もどうせ何かの災害や戦争が予言されていたとか言ってるだろ」
「ああ、色々な話出してな」
 息子もその通りだと答えた。
「エドガー=ケイシーとかお釈迦様とかキリストとか」
「そうだな、しかしな」
「それでもか」
「全部後付けでな」
 その事件が当たっていたという話はというのだ。
「前以ての予言なんてな」
「なかったんだな」
「試しにその本持っておいてだ」
 息子に左手の人差し指を立てて肩の高さで上にやって話した。
「何年か経って読んでみるんだ」
「何年か?」
「お前が高校生か大学生になった頃にな」
 それ位経ってからというのだ。
「あらためて読んでみるんだ」
「そうしたらわかるか」
「ああ、本当にこれから起こることなんてな」
 本に書かれている予言はというのだ。
「もう全部な」
「外れてるか」
「そりゃ地震や台風が起こるとかな」
 そうしたというのだ。
「日本に毎年ある様な災害の話はな」
「当たるか」
「けれど他のものはな」 
 そうした普通に起こりそうなこと以外はというのだ。
「もうな」
「外れてるか」
「ああ、予言はそんなものだ」
「お父さんいつも運命って言うよな」
「予言は人がするものだ」
 父は息子の言葉にあっさりと返した。
「それも酷い場合本を売って生活の糧にするどころかな」
「もっと悪い場合あるんだな」
「不安を煽ったりな」
 人の心にあるそれをというのだ。
「そこから自分達の都合のいい主張に組み込んだりな、カルトってあるな」
「インチキ宗教だよな」
「そうした連中は予言とか言ってな」
 そうしてというのだ。
「やたら人を不安にさせて惑わしてな」
「ああ、自分達が救えるってか」
「言ってだ」 
 そうしてというのだ。
「自分達の中に取り込んでいくんだ」
「人の不安煽るんだな」
「そうするのがな」
 それこそというのだ。
「悪質な連中でな」
「予言って人がするものでか」
「中にはそんな連中もいるからな」
「注意が必要か」
「また言うけれど人が予想したり適当に言うんだ」
 そうしたものだというのだ。
「だからな」
「それでか」
「運命とは違うんだ」
「予言とはか」
「お父さんが信じているのは運命なんだ」
 こちらだというのだ。
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