第二章
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「実際に日本橋まで行ってな」
「そうするんかいな」
「ついでにあそこで夫婦善哉行って自由軒でカレー食うか」
「織田作さんかいな」
「ああ、久し振りにな」
「どっちも夫婦で行くお店やろ」
秀長は二つの店が作中に出る織田作之助の代表作夫婦善哉が浮気の結果とはいえ夫婦になった二人の話から言った。
「祖父ちゃんと孫息子で行くんかいな」
「美味いもん食うのやとええやろ」
「別にか」
「それでや」
「日本橋に行くならか」
「どうせ南海で行くなら難波やろ」
「地下鉄でも大して変わらんわ」
こう祖父に返した。
「それやとな」
「それならじゃ」
「まずは法善寺横丁と千日前からか」
「日本橋に行こうな」
「足大丈夫かいな」
祖父が八十歳ということから問うた。
「それで」
「毎日自転車で天下茶屋まで行ってるやろ、難波にも」
「遊びにやな」
「住吉さんにもな」
住吉大社にもというのだ。
「ほなや」
「安心か」
「そや、しゃきしゃき歩いてくで」
孫にこう言ってだった。
彼が休日の日に二人で実際にまずは法善寺横丁の夫婦善哉と千日前の自由軒に寄って彼と共に善哉とカレーを食べてだった。
そのうえで日本橋まですいすいと歩いて行ったが。
「いづも屋は今は船場に跡継ぎさんみたいなお店が出来たか」
「閉店したけどな」
「それは残念じゃが」
「船場に行ってか」
「今度はそっちでな」
そちらでというのだ。
「食うか」
「そうするんやな」
「今度な、それで今からじゃ」
「そうしたお店でか」
「これを見せる」
隣にいる孫に懐から出した箱を見せて話した。
「この中にや」
「まさかと思うが」
「そや、祖父ちゃんが子供の頃にひい祖父ちゃんに勝ってもらった」
自分から見て父にあたるというのだ。
「懐かしのおもちゃや」
「ブリキのか」
「それを見せるわ、これでもちゃんと手入れしてな」
それでというのだ。
「ピカピカや」
「錆とかないか」
「ああ、それをな」
「お店の人に見せるか」
「そうするんや」
「そうか、ほな日本橋まで行こうな」
孫は祖父の言葉に頷いた、そうしてだった。
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