第二章
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そしてだ、そのうえでだった。
観客席の両チームのファン達はそろそろという顔で話した。
「ほなな」
「今日も言い合うか」
「試合が終わる頃になったら」
「そうしよか」
「やっぱり言わんとな」
「ああ、こうしたカードやとな」
「どうしてもな」
こうした話をしてだった、一塁側も三塁側も心で構えを取った、そしていよいよ試合が終わる時になると。
「阪急電車ではよ帰れ」
「近鉄電車ではよ帰れ」
「おお、はじまったな」
西本はベンチで観客達の声を聞いて言った。
「今日も」
「そうですね」
「お互いに言い合ってますね」
「そうしていますね」
「これがな」
この言い合いがというのだ。
「こっちで試合する風物詩や」
「はい、関西で試合しますと」
「うちと阪急さんそれに南海さんの間で」
「試合が終わりに近付くと」
「お互いに言い合いますね」
「何しろ親会社が私鉄でな」
それぞれのチームのというのだ。
「関西走ってるさかいな」
「こうなりますよね」
「お互いに言い合う」
「そうなりますよね」
「いつも」
「阪急の監督やってた頃からな」
西本は自身のこの頃のことも話した、近鉄の監督になる前はこのチームの監督を十一年に渡って務めていたのだ。
「こうしてな」
「言い合ってましたよね」
「その時から」
「そうでしたね」
「そやった、それは近鉄の監督になってもな」
それでもというのだ。
「同じやな」
「親会社が関西の私鉄同士なので」
「そう言い合いますね」
「そうですね」
「本当に」
「そやな、こうした言い合い聞くのもおもろいわ」
笑顔で話してだった。
西本はコーチ達そして選手の者達と共に観客達の言い合いを聞いていた、そうしてそのうえで試合終了を迎えた。
三試合試合終了間際になるとこの声を聞き合った、その後で。
近鉄は今度は南海との試合を迎えたがこの時もだった。
「南海電車ではよ帰れ」
「近鉄電車ではよ帰れ」
お互いのファンの言い合いを聞いた、西本はその後で球場を去ったあと南海の監督である広瀬叔功に共にラーメン屋に入って共にラーメンをすすりつつ話した。
「今日もやったな」
「そうでしたね」
「はよ帰れって言い合ったな」
「お客さん同士が」
「あれがないとな」
西本は笑って話した。
「わし等の試合やないな」
「関西のパリーグのチーム同士は」
「三つあってな」
「三つ共親会社私鉄やさかい」
「ああ言い合ってもらわんとな」
「そう思えませんね」
「あまり品はよおないがないと寂しいわ」
あの言い合いはというのだ。
「ほんまな」
「そうですね、ほな明日も」
「あの言い合いをな」
「最後の方で聞きましょう」
「そうしよな」
西
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