第三章
[8]前話
「蛇や蜥蜴や蛙もいるな」
「それが何か」
「そなたこの者達全てと家族で」
王様はさらに言いました。
「親しくしているのだな」
「そうです」
「そして村の者達が謝ったら許したか」
「だって謝ってくれたら」
それならとです、アビクは王様のこの言葉にも答えました。
「僕は生きていますから」
「それでいいか」
「お父さんとお母さんが死んで捨てられたことは悲しいです」
このことはというのです。
「とても。ですが」
「それでもか」
「僕は生きていて」
そしてというのです。
「考えてみれば森の皆と出会えまして」
「家族になったからか」
「はい、結果は凄くいいことになったので」
考えると、というのです。
「不思議な力も授かって」
「その力で雨を止めたが」
「よくないですね」
アビクはこのことは反省して答えました。
「やっぱり。雨も降らないと」
「うむ、皆が困る」
「今度から二度とこんなことにはならない様にします」
「気を付けるか」
「そうします」
アビクは約束しました。
「何があっても」
「わかった、それでだが」
あらためてです、王様はアビクに言いました。
「実は余には子がいない。后にも先立たれた」
「そうなのですか」
「これといって身内もいないのだ」
難しいお顔で言うのでした、このことを。
「だから跡継ぎが欲しいが」
「次の王様が」
「だがそなたはそれだけの者の獣達全てと仲良く出来てな」
森の皆も見てお話します。
「そして謝れば許した」
「村の人達が」
「そして力を人を困らせる為に使わないな」
「二度と」
「その気構えもよし、そなたなら王になれる」
「僕がですか」
「そうだ、そうなるからな」
だからだというのです。
「次の王にしよう」
「僕が王様に」
「そなたなら出来る、誰とも絆を深められ過ちを許し力があろうとも悪いことに使わないのならばな」
即ちアビクならというのです。
「問題ない、ではだ」
「僕はこれからですか」
「余が王として備えるものをさらに教えるからな」
「そうしてですか」
「余の後の王となるのだ、いいな」
「わかりました」
アビクは王様の言葉に頷きました、そしてです。
王様に王様になる為に必要なことを色々と教えてもらってからこの国の人間達それに森の獣達の王様になり国も王も素晴らしく治めとても幸せな世界を築きました。マリに伝わるお話です。
バオバブの木 完
2023・5・13
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