第一章
[2]次話
さよならじゃ終わらない
付き合って一ヶ月、お互いに大学を出た社会人でもう恋愛のノウハウなんて知らないと言う歳じゃない。
私も彼もそうした経験を積んできている、だから彼の奥手がそろそろもどかしくなってきていた。
それで私はこの時会社の同期の娘で友人である彼女にお昼ご飯のハンバーガーとコーラを口にしながらついついぼやいた。
「お互い知らないとは言えない歳でね」
「付き合って一月よね」
「それでよ、ずっと一緒に飲んでもデートしてもよ」
私は彼女にハンバーガーを食べつつぼやいた。
「さよならでね」
「お別れね」
「それでまた今度よ」
「あっさりしてるわね」
「あっさりはもういいのよ」
彼女にこう返した。
「私はね」
「べったりがいいの」
「そうよ」
言うならだ。
「そんな中学生みたいなね」
「デートして満足はいいのね」
「そうよ、飲んで終わりもね」
どちらもだ。
「もっとね」
「先に行きたいのね」
「恋愛のね、さもないと」
それこそだ。
「我慢出来ないわよ」
「そうなのね」
「それでどうしたものかって思ってるけれど」
「そんなに言うならあんたから仕掛けたらいいでしょ」
彼女はコーラを飲むのを止めて私に言ってきた。
「もどかしいならね」
「それならなのね」
「恋愛は二人でやるものならね」
「一方が動かないなら」
「もう一方が動くものだからね」
そうしたものだからだというのだ。
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