第二章
[8]前話
「だからそうした時は自分でね」
「そういうことね」
「やっぱりうちの人と、とが一番でも」
それでもというのだ。
「あれよ、他の人に身体触られるとか」
「ああ、気持ち悪いのね」
「私そうだから」
「浮気はなのね」
「しないの。誘われてもね」
それでもというのだ。
「絶対にね」
「そうなのね」
「ええ、それでね」
同僚にさらに言った。
「うちの人が忙しくなくなったら」
「山場乗り越えたらね」
「その時にね」
「兎に角旦那さんの浮気はなのね」
「ないわ」
笑顔で言った、このことは玲奈が言った通りだった。
勝也は浮気していなかった、暫く朝早く出て夜遅く帰っての生活が続いていてそれが遂に終わってだった。
有給休暇を取った時にだ、彼は妻に言った。
「ちょっと暫くな」
「お家でなの」
「ゆっくり寝かせてくれないか」
こう言うのだった。
「本当にな」
「そこまで疲れてるのね」
「プロジェクトが全部終わってな」
妻に疲れ切った顔で言うのだった。
「もうな」
「それでなのね」
「暫くな」
「お家でずっと寝てるのね」
「ああ、そうさせてくれよ」
「わかったわ、じゃあね」
「ああ、暫く休むよ」
実際に有休を取った間ずっと寝ていた、玲奈が出勤して帰ってもまだ疲れが残っている顔で休んでいた。
そして有給が終わって出勤してだった。
定時に帰った夫にだ、玲奈は言った。
「久し振りにいい?」
「ああ、やっと疲れが取れたしな」
夫は明るい顔で答えた。
「それじゃあな」
「今夜はね」
「やっとだよ、こうしたことが出来るのもな」
「忙しくなくて体力があるからよね」
「だからな、それでな」
今はというのだ。
「体力もやっと戻ったし」
「今夜はね」
「宜しくな」
こう言って自分から妻を抱き締めた、そして二人で夕食まで夕食が終わっても風呂場や寝室に戻って楽しんだ。その後で妻は隣に寝ている夫に言った。
「随分だったわね」
「ああ、久し振りだったからな」
「もう何度もだったわね」
「そうだよな、けれど疲れていたらな」
「こうしたことも出来ないわね」
「出来る筈ないよ」
満足した顔で言うのだった、ここで妻は実際のことでもわかった。浮気は忙しくなく疲れていないからこそ出来る。少なくとも同僚と話していた頃の夫では無理だと。道具ではなく夫で満足出来たことに喜びを感じながらわかったのだった。
疲れていて浮気なんか 完
2023・7・25
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