第一章
[2]次話
疲れていて浮気なんか
サラリーマンの赤川勝也は最近忙しい、細面で大きな丸い目と分厚い唇に高い鼻と大きな耳を持っている。黒髪は癖がありやや伸ばし背は一七二位で痩せている。
朝早くに家を出て夜遅くに帰る、そんな日々を過ごしている。
「いや、プロジェクトが続いて」
「大変なのね」
「そうなんだよ」
妻で働いている玲奈に答えた、妻は黒髪をロングにしていてはっきりした長い眉に切れ長の大きな目と微笑んだ赤い唇を持っている。細めの顔立ちで一六三位の背でスタイルはグラビアも出来る程である。勝也はその妻に言うのだった。
「ずっとな」
「忙しいわね」
「これも仕事だけれどな」
「あなたの会社ホワイトなのにね」
「普段はな、けれど今はな」
「忙しいのね」
「ああ、特に俺の課はな」
夜遅く帰って妻の出した夕食一旦冷えていたので電子レンジで温められていたそれを食べつつ言うのだった。
「凄まじいんだよ」
「だからなのね」
「今はこうだよ。ただ終電までには帰らされるし」
会社の方からというのだ。
「休日出勤もないしな」
「まだまし?」
「ああ」
そうだというのだ。
「本当にな」
「そうなのね」
「だから飯食ってシャワー浴びて歯を磨いたらな」
「寝るのね」
「そうするよ、今日も」
こう言ってだった。
夫は疲れ切った顔で食事もシャワーも歯磨きもだった。
手早く済ませてそうして寝た、翌朝は妻が起きるより早くベッドから出て早朝に出て行った。そうした日々だったが。
ある日玲奈にだ、職場で同僚がこんなことを言った。
「旦那さんが浮気してるとか気になることある?」
「結婚してたら誰もが一度は気にするわよね」
玲奈もこう返した。
「やっぱり」
「だからあんたもね」
「いや、少なくとも今はないわ」
玲奈は確信を以て言った。
「普段からうちの人何でも私が一番タイプらしくて」
「それで結婚したし」
「それで普段は毎晩みたいにだけれど」
「最近はなの」
「あまりにも忙しくてね」
それでというのだ。
「ないしそれにね」
「それに?」
「今はって言ったけれど忙しくてね」
その為にというのだ。
「毎日朝早く起きて夜遅くに帰って休日はいつも寝てるのよ」
「かなりお疲れなの」
「浮気してたらもっと元気な筈よ」
「浮気するにも体力必要だしね」
同僚もそれはわかった。
「やっぱり」
「そう、だからね」
「旦那さん浮気してないの」
「夜全くないのよ最近」
「じゃあむしろあんたが」
「何言ってるの、その為に道具もあるでしょ」
かなり赤裸々にだ。玲奈は笑って返した。
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