第二章
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「私達の街山なんてないし」
「田んぼもね」
「畑はちらっと見るけれど」
それぞれの家庭が持っている家庭農園である。
「けれどね」
「それでもよね」
「泳ぐ様な川もないし」
そうしたものもというのだ。
「だからね」
「お祖父ちゃんはなのね」
「野生でね」
そうしてというのだ。
「凄いってね」
「思えるのね」
「うん、他にいないから」
真希の周りにはというのだ。
「本当にね」
「憧れてるのね」
「うん」
その通りだというのだ。
「お祖父ちゃん大好きよ」
「そうなのね」
「だからね」
それでというのだった。
「ずっと一緒にいたいわ」
「ここに住むの?」
「無理よね、それは」
「ここはお祖父ちゃんのお家だからね」
それでというのだ。
「それはね」
「そうよね、けれどね」
それはわかっている、真希はそれでもと答えた。
「私それでもね」
「お祖父ちゃん大好きね」
「うん、あんな風になれたら」
笑顔で言うのだった、そしてだった。
真希は母の実家にいる間祖父と共にいる時間を楽しんだ、そしてだった。
自然と祖父の人柄に触れられてそれを思い出としつつ自分達の家に帰った、夏休みが終わると友人達に祖父のことを話した。
「こうしたお祖父ちゃんなの」
「へえ、毎日山に入って」
「畑仕事して」
「川に入って泳いで」
「そうしてるのね」
「うん、ここじゃ山なんてないけれど」
それでもというのだ。
「お祖父ちゃんはそうなの」
「毎日なのね」
「そうしたことして暮らしてるのね」
「ここじゃ考えられないわね」
「だからね」
それでというのだ。
「私お祖父ちゃんに憧れてるの」
「豪快よね」
「街にいない感じの人ね」
「確かに憧れるわね」
「お話聞いてるとね」
「そうでしょ、またお祖父ちゃんと会いたいわ」
笑顔でだ、真希は孫達に話した。そしてだった。
毎年夏になると母の実家に帰った、祖父は年齢も重ねても相変わらずで。
「お祖父ちゃんずっと元気でいてね」
「百歳まで生きるぞ」
山で川で田畑で元気に動き回っていた、そんな彼を見て真希はずっと憧れて慕うのだった。
野生児お爺さん 完
2023・7・25
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