第百八話 残暑が終わりその八
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「誰かと一緒の時のままの気持ちだとな」
「余計に危ないわね」
「そうなるからな」
だからだというのだ。
「本当にな」
「そんな時こそなのね」
「注意しろよ」
「そうするわね」
咲も頷いた。
「私も」
「そうよ、何かあってからじゃ遅いから」
母も言ってきた。
「最初から何もない様にね」
「心構えをしておくことね」
「大事なのはね」
「お姉ちゃんと一緒にいても」
「そうよ」
まさにというのだ。
「それでもね」
「自分でも油断しないことね」
「そう、ある程度でも警戒心は持つことよ」
「二人でもそうで」
「例えばおトイレに行くでしょ」
「ああ、その時ね」
「女の子は皆で行くけれどね」
このことは実は咲も同じである、トイレに行く時はクラスメイトそれに愛と一緒であることが常である。
「女子トイレの中でもね」
「油断出来ないのね」
「結構おトイレの時何かあるのよ」
そうしたものだというのだ。
「野生の世界だと狙われるしね」
「おトイレの時になの」
「そうなのよ」
「ううん、それは知らなかったわ」
「食べる時とおトイレの時はね」
この二つの時はというのだ。
「それでお風呂の時もね」
「ああ、お風呂の時はね」
そう言われるとだ、咲も頷いた。
「裸だしね」
「くつろぐしね」
「狙われやすいわね」
「源義朝さんもでしょ」
源頼朝の父である彼はというのだ。
「お風呂を勧められて」
「そこで殺されたわね」
「本当にほっとする時とかもね」
「危ないのね」
「一人になる時もそうで」
「皆やお姉ちゃんと一緒でも」
「そうなった時こそね」
まさにという口調での言葉だった。
「気を付けることよ」
「気を抜いたら駄目ね」
「いきなり通り魔とかもね」
「あるわね、あって欲しくないけれど」
残念だが世の中そうした凶行に走る輩も存在するのだ、昭和には麻薬中毒から錯乱状態に陥り路上で何人も刺殺した輩もいる。
「秋葉原でもあったわね」
「咲も秋葉原好きだけれど」
「一人の時は注意ね」
「そう、愛ちゃんと一緒でも結局自分を護るのはね」
「自分自身ね」
「突き詰めて言うとね」
こう娘に話した。
「そうなのよ」
「そうなるのね」
「だからね」
それでというのだ。
「愛ちゃんにも言うけれど」
「お姉ちゃんも一人になったら」
その時はというのだ。
「お姉ちゃん自身でどうにかするしかないのね」
「徳川家康さんは水泳と乗馬を励めと言ってたんだ」
父はこの東京の基となる江戸幕府を開いた人物の話をした。
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