第一章
[2]次話
娘達からも忘れられ
ふわりの前の飼い主である百田家の夫婦が死んだ、二人共禁治産者認定され生活保護を受け何をすることもなく誰からも相手にされることなくひたすら酒に溺れた結果だった。
どちらも家の中で腐乱死体となって発見されてから無縁仏となり通夜も葬式もなく葬られてだった。
住んでいた家は取り壊され後は更地になった、そして売りに出されたが。
「売れないんだな」
「人が死んだ跡地よ」
ふわりの今の飼い主達である国崎家の主婦百合子は息子の洋介に話した。
「そんなところはね」
「売れないか」
「安く売りだしても」
そうしてもというのだ。
「まずね」
「売れないか」
「そうよ」
こう息子に言うのだった。
「そんなお家はね」
「土地もか」
「もうご近所でもね」
二人が住んでいたというのだ。
「空地の前を通ってもね」
「そうしてもか」
「見向きもね」
それこそというのだ。
「されないみたいよ」
「そんな場所になってるんだな」
「前はお化け屋敷とか言われてたけれど」
二人が住んでいたその家はというのだ。
「お家もお庭も全く手入れもお掃除もしなくて」
「荒れ放題になっていてか」
「二人自体もお酒ばかり飲んで」
そうなってというのだ。
「ゾンビみたいになっていたそうだから」
「お化け屋敷か」
「そう言われてたけれど」
それがというのだ。
「もうね」
「あの二人が死んでか」
「そしてよ」
そうなってというのだ。
「お家は取り壊されて」
「更地になってか」
「そうなったらね」
「もう誰も振り向かないか」
「最初はここにあの人達とお家があったって見ても」
その前を通ってもというのだ。
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