第七百八話 連合の狼その七
[8]前話 [2]次話
「人の後をついてくるな」
「はい、自分の縄張りに入れば」
「そうだ、人が自分の縄張りに入るとな」
「ニホンオオカミは人が縄張りを出るまで」
「警戒してな」
そうしてというのだ。
「後ろをついてくるのだ」
「そうなのですね」
「これを送り狼というが」
「そういえば日本に送り犬という妖怪がいましたね」
上等兵はここでこのことを思い出した。
「そうでしたね」
「その妖怪は実はな」
「ニホンオオカミでしたね」
「その妖怪は私も知っている」
送り犬という妖怪はというのだ。
「夜の山道で人の後ろをついてくる妖怪だな」
「転ぶと襲ってくるとか見守っているとか」
「言われているな」
「そうですが」
「これはまさにな」
「そのニホンオオカミの習性ですね」
「そうだ」
まさにというのだ。
「夜の山道を歩いていてな」
「地球にあった頃の日本は山が多かったのですね」
「非常にな。国土の七割がだ」
そこまでの割合がというのだ。
「山岳地帯だった」
「それはまたかなりですね」
「四方は海に囲まれな」
そしてというのだ。
「それと共にだ」
「国土面積の七割が山岳地帯ですか」
「そうした国だったからな」
「山道も多く」
「そこを歩いているとな」
その時にというのだ。
「ニホンオオカミがついてきてな」
「それを妖怪と思ったのですね」
「それが送り犬だ」
この妖怪の正体だというのだ。
「連合は都市伝説、妖怪の話も多いが」
「それも非常に」
「幽霊だのそうした存在は否定しないがな」
「それは出来ないですね」
「どうもな」
これは彼等が軍人だからである、実は軍隊という組織は古来より怪談話が尽きずこの時代でもそうした話が非常に多いからだ。
「私もな」
「そうですね、ですから」
「連合の妖怪の話もな」
「否定出来ないですね」
「むしろ何かとだ」
連合の妖怪話はというのだ。
「面白い」
「左様ですね」
「だからな」
それでというのだ。
「よく調べているが」
「送り犬の正体はニホンオオカミですね」
「送り狼の習性がな」
「そのままですね」
「妖怪になった、だが」
「それでもですね」
「ただ人が自分達の縄張りから出るか」
それをというのだ。
「冷静にだ」
「見ているだけですね」
「それだけだからな」
だからだというのだ。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ