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第八十七話 妹の受験その四

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「いいかもね」
「男の娘はなの」
「女装している男の子ならね」
「いいのね」
「男の子って思うから」
 だからだというのだ。
「こっちはね」
「いいのね」
「何か日本って女装のお話多いけれどね」
「女形とか」
「そういうお話もあるわよね」
「というか日本って同性愛自体普通でしょ」
 理虹は妹に何でもないという顔で答えた。
「日記に書いてたお公家さんがいてね」
「凄い日記もあるのね」
「それ今も残ってるそうだし」
 藤原頼長のものである、彼が誰とどういうことをしたかということを日記に書き残したのであるが当時の日記は耕世に伝える為のものでもあった。
「読めるそうよ」
「同性愛の日記ね」
「それもあるし新選組でも」
 幕末の彼等もというのだ。
「そうしたお話がね」
「あったの」
「近藤さんが言ってたらしいのよ」 
 近藤勇、局長である彼がというのだ。
「隊の中で広まってるって」
「何か新選組って遊郭ってイメージあるけれど」
 実加は自分の新選組へのそれを話した。
「そっちもあったの」
「そうみたいよ」
「そうなのね」
「それで捕まった人いないし」 
 同性愛でというのだ。
「一人もね」
「あっちじゃ死刑よね」
 実加は兄の話に応えて述べた。
「欧州とかじゃ」
「キリスト教とかユダヤ教だとね」
 理虹もそれはと答えた。
「死刑になる様な」
「物凄く悪いことだったのよね」
「けれど日本だとそうで」
 ごく普通のことでというのだ。
「それで何か言われる人もね」
「なかったわね」
「そうよ、まあ私もそっちの趣味はないけれど」
 理虹は自分のことも話した。
「否定はね」
「しないのね」
「別にね」
 こう言うのだった。
「そうよ」
「そうなのね、お姉ちゃんは」
「というかね、かな恵達とそうしたことするとか」
 理虹は冷めた目で彼女達のことを思い出して言った。
「想像出来ないわよ」
「かな恵さんスタイルいいのに」
「けれどかな恵達は友達で」
 あくまでその関係でというのだ。
「付き合うとかね」
「そういうのはないのね」
「絶対にね」
 確信を以て言うのだった。
「ないわよ」
「まあそれ言ったら私もね」
「そっちの趣味ないって言ったしね」
「男の娘はよくてもね」
「何かそっちも結構レアな趣味ね」
「そうかしら」
「よく何とか属性って言うけれど」 
 それぞれの好みをこう言うのだ。
「あんた男の娘属性なのね」
「そうなるのね」
「ええ、男の娘と付き合うの」
「何かそういうの面白そうだし」
 姉に笑って自分の好みを述べた。
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