第一章
[2]次話
坊主丸儲けじゃない
高校生の原源一細面で細い小さめの目と細く長い眉に小さな薄い唇を持つ一七二位の背の彼はある日クラスでこんなことを言った。
「俺坊さんになりたいな」
「えっ、お前信仰心あるのかよ」
「全然そうは見えないけれどな」
「そうなのかよ」
「いや、あるにはあるけれどな」
それでもとだ、原はクラスメイト達に軽い調子で話した。
「お坊さんって儲かるんだよな」
「ああ、坊主丸儲けか」
「よく言うよな」
「宗教法人ってことで税金も免除されて」
「そっちもいいんだよな」
「だからな」
こうしたことがあってというのだ。
「俺としてはな」
「将来は坊さんか」
「そうなって坊主丸儲けか」
「そうなりたいんだな」
「ああ、夢はな」
まさにというのだ。
「それだよ」
「何か俗物的だな」
「けれど儲かるならいいか」
「それで悪いことしないならな」
「それでいいか」
「今坊さん結婚しても肉食ってもいいらしいしな」
原は笑ってこうしたことについても言及した。
「それならな」
「楽か」
「修行とかあっても」
「それでもか」
「だからなりたいな」
明るい笑顔での言葉だった、だが彼は自分が僧侶になることはないだろうと思っていた、だが大学受験の時になってだった。
父からだ、急にこんなことを言われた。
「お前仏教学科受けたいか?」
「仏教?」
「ああ、そこに入ってな」
そうしてというのだ。
「お坊さんの資格取るか?」
「俺が坊さんになりたいって言ったからかよ」
原は家でも僧侶になりたいと言っていたのですぐに応えた。
「それでか」
「ああ、動機は不純でもな」
「坊主丸儲けだからな」
「それでもなりたいならな」
それならというのだ。
「いいだろ」
「そういうことか」
「それでな」
父は息子にさらに言った。
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