暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
AXZ編
第162話:作られた日の出を明けて
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されると言う事態になってしまったのだった。




***




 そして現在、響は搬送された2人に思いを馳せていた。

 不安を思わず口にしてしまう響。だが彼女は口に出してからそれを後悔した。この場で誰よりも2人の身を案じているのは、最後尾に残っていた中で唯一ピンピンしている奏自身の筈なのだ。響は言ってから慌てて口を手で塞いだ。

「ぁ……!?」
「そんな気にしなくていいよ響。2人ならきっと大丈夫だって」
「精密検査の結果次第だけど……奇跡的に大きなダメージは受けていないそうよ」
「颯人の場合は魔力の過剰行使による疲労が主な原因です。直ぐに戻ってきますよ」
「きっと……無事です」

 奏に続いて、あおいにアルド、そしてエルフナインが響を元気づける。だがあおい達の言葉は、同時に奏に対しても向けられた言葉でもあった。特に颯人の安否に関しては、誰よりも奏が気になっている事の筈だ。

 アルドからも墨を付けてもらい、奏の表情が若干和らいだ。

「な?」
「は、はい……そうですよね。大丈夫……絶対」

 奏と響の不安を取り除く事に成功したアルドとエルフナイン。だが2人は何てことは無い風を装いつつ、脳内では思考を巡らせていた。

――あの時、颯人は指輪を介さずオールドラゴンへと至った。何故? 指輪もタイマーも使わず、ファントムが自らの意志で飛び出した? 颯人の魔力は既に限界まで熟した筈なのに?――

――LiNKERを介さないギアの運用。ましてやイグナイトによる身体への負荷。絶唱級のバックファイアを受けてもおかしくなかった筈……なのに……――

 極力表には出さないようにしつつ、明らかな異変に内心で頭を抱える2人。そしてもう1人、ある事で疑問を感じ奏に注目しているものが居た。

 それは了子だった。彼女は先の戦闘の最中、奏のバイタルを計測している時に明らかな異変を目にしていたのである。

――あの炎に巻き込まれる直前、奏ちゃんのLiNKERは確かに限界時間を過ぎていた筈。にも拘らず、適合係数は下がるどころか逆に上昇してる?――

 S.O.N.G.が誇る頭脳班が各々、不可解な現象に頭を悩ませる。

 その不可解な現象が後々大きな波紋を生むのだが、この時の彼女達にそれを知るすべはなかった。
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