暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
AXZ編
第162話:作られた日の出を明けて
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一番最後尾を行く颯人達に到達した。

 全身を焼き尽くされそうなほどの熱量をその身に受けつつ、奏とマリアは諦めずに走り続けた。

「例えこの身が砕けてもぉぉぉッ!」
「諦めて、堪るかぁぁぁッ!」

 魂からの言葉を吐き出す様にマリアと奏が吼える。するとその声に呼応するように、2人が纏うギアが仄かな光を発した。

 瞬間、颯人が目を覚ましたように顔を上げ――――









 そして辺り一面が強い光に包まれた。その光は遠く離れた避難場所にまで届き、夜だと言うのに昼間と見紛う程の明るさになる。

 だがその光は長くは続かず、唐突に収縮し小さくなって消えていった。

 光と炎が消えた場所、そこは風鳴機関の中枢がある筈の場所。だがそこは先程まであった山が抉れるように消し飛び、後には火山の火口の様に赤く熱を持った穴だけが大きく口を開けていた。

 その穴の上で、全裸のアダムは手の中に小さな金色の珠を持って笑っている。

「ほう……。ははははははッ! ビタイチかッ! 安いものだなッ! 命の価値はッ! ふはははッ! はははははッ!」

 風に乗って流されるアダムの哄笑。それを聞きながら、意識を取り戻したクリスが大穴を見ていた。

「何が……一体、どうなって――」
「風鳴機関本部が……跡形もなく……?」

 クリスと共に風鳴機関本部があった場所を呆然と眺める翼。その後ろで、響と切歌達が最後尾に居た筈のマリア達の姿を探していた。

「マリアさん達はッ!?」
「マリアーッ!? 奏さーんッ!? 何処デースッ!?」

 辺りは瓦礫も散乱しており、何処に誰が居るかも分からない状況。その中で響達は姿の見えない颯人達の姿を探した。

 すると、穴の縁の瓦礫の一つが大きく揺れ動き、下から奏が瓦礫を持ち上げて立ち上がった。

「――ぶはっ! ふぅ……こっちだ!」
「奏さんッ!」
「奏ッ! 大丈夫なのッ!」
「あぁ。颯人とマリアのお陰だよ」

 あの瞬間、マリアが手助けしてくれたからここまで逃げ切る事ができた。そして何より、最後の最後で颯人が力を振り絞って彼女達の事を守ってくれたのだ。お陰で3人共大きな外傷はなく、マリアもまたギアの無茶な運用で体に負担を掛けつつも五体満足で居られた。

「生き……てる……?」

 消耗して朦朧とした意識の中で、それでもマリアは自分が生きている事を実感して安堵と疲労に息を吐いた。

 だが颯人は相当無茶をしたのか、既に変身も解除され意識を失いピクリとも動かない。息はしているので死んでいない事が幸いだが、それでも医者に急いで見せた方が良い事は明白だった。

 こうして奏達は、風鳴機関本部を守りきる事も出来ず、また颯人にマリアの2人を東京の病院に搬送
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