暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
AXZ編
第162話:作られた日の出を明けて
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でもないと、マリア達は倒れた響達を担いでその場を離れ奏とガルド、透もそれをサポートした。
だがただ1人颯人だけはその場に残り、それだけに留まらず逆にアダムへと立ち向かっていった。
「え、ちょ、颯人ッ!?」
「あのまま放っておいたら、どれだけの被害になるか分からねぇ! 少しでも被害を抑えてやるッ!」
「――そうらッ!」
自分に向けて立ち向かってくる颯人を見下ろしながら、アダムは火球を投げつける様に振り下ろした。
視界を埋め尽くすほどの劫火を前に、しかし颯人は怯む事無く突き進む。
「そう言う事にばっか、力使ってんじゃねえよッ!!」
気合を入れる様に颯人が吼えると、それに呼応して彼の内に宿るドラゴンが咆哮を上げた。するとその瞬間、彼の身から飛び出したドラゴンがウィザードの姿をオールドラゴンへと変え、大きく翼を広げてアダムの放った黄金錬成を受け止めた。
その事に誰よりも驚愕したのはアダムであった。
「何ぃッ!?」
己の錬金術が、たかが一人の魔法使いの小僧に受け止められている事実が信じられない。しかも颯人は受け止めるだけに留まらず、徐々にだが黄金錬成の魔力を打ち消していた。次第に太陽の如き輝きが小さくなっていくのを、アダムは唇を震わせながら見ていた。
「な、なぁ……!?」
「ぐ、ぐぅぅぅぅぅぅぅぅ……!!」
驚愕のあまり思考が停止するアダムだったが、颯人の方も余裕がなかった。何しろ東京都を丸ごと飲み込むのではないかと言う程のエネルギー、本来であれば受け止める事等出来る筈がない。
だが今彼が考えているのは、これ以上人々に犠牲を出さない事。何より、奏を守る事であった。
しかしそれでも限界と言うのは近付いてくる。一時は勢いを失いつつあったアダムの黄金錬成だったが、時間が経つにつれて勢いを取り戻し逆に颯人を飲み込みつつあった。
灼熱の劫火が身を焼く苦痛に、颯人の口から苦悶の声が上がる。
「う、ぐ……ぉぉぉぉぁぁぁぁぁぁぁぁ……!?」
「燃え尽きたまえよ。そのままッ!」
颯人の行動が無駄な抵抗と分かり、アダムは余裕を取り戻した。その彼の予想が正しい事を証明する様に、拮抗が崩れた颯人は弾かれるように吹き飛ばされた。
「颯人ッ!?」
吹き飛ばされた颯人を奏が受け止める。ウィザードに変身している為中身がどうなっているかは分からないが、身に纏っている鎧に関して言えば焼け爛れてボロボロになっていた。これでは中身の方も決して無事とは言い切れない。
急いでその場を離れるべく、力尽きて動かなくなった颯人をマリアと共に担いで逃げる奏。
その背後でアダムの放った黄金錬成が地上に炸裂し、灼熱の劫火を周囲に広げていく。地上の全てを飲み込まんとする炎が、
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