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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
AXZ編
第162話:作られた日の出を明けて
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たのはこの場でアルドに次いで錬金術の知識を持つエルフナインだった。キャロルから錬金術に関する知識を受け継いでいる彼女は、当然賢者の石の精製についても知識を持っている。だがそれは錬金術的に構築した、触媒としての賢者の石であった。
万象黙示録により解析された世界構造のデータを用いて構成される錬金思想の到達点にしてその結晶体。完全を追い求める錬金術の推移の結集。
だがそれは颯人により防がれた為、本来であれば手にする事ができない物の筈だったのである。
それを別の方法で手に入れたと言うのは、錬金術の知識しかないエルフナインにとって衝撃的な事実であった。
「サバトとは、元々人々の中に眠る魔法の力を開花させる技術。ですが全ての人々が同等の才能を持っている訳ではありません。才能を開花させても微々たる魔力しか持っていない者も居れば、逆に膨大な魔力を秘めている場合もあります」
「そしてその才能も、強い精神力が無ければ開花と同時に本人の身を滅ぼしてしまいかねません」
問題となるのはその身を滅ぼすほどの強さを秘めた魔力の向かう先だ。颯人の様に魔力を制御し己が力とする事ができれば問題ないが、膨大な魔力を持つ者が無理矢理才能を開花させられた結果耐えきれず息絶えた場合、その秘められていた魔力はどうなるのか?
その結果が人々の想いの凝固であり、それにより生まれるのが賢者の石なのである。つまり、サバトでは新たな魔法使いと同時に賢者の石も生み出されるのだ。
「実は以前、まだ颯人が二課に加入する前にですが、サバトを防ぎきれなかった時に賢者の石が生成されてしまった事があるのです」
「えっ!? そうなの!? その賢者の石は今どこに?」
「もうそれはありません。櫻井女史、あなたを蘇らせる為に砕け散りましたから」
「ッ!? あの時の指輪かッ!」
ルナアタック事変の最後、颯人がフィーネから了子を引き剥がす時に使った魔法。弦十郎の想いを糧に起こした奇跡の源こそが、賢者の石を使って作り出された指輪だったのだ。
そしてウィズがそうして賢者の石を手に入れられたと言う事は、サンジェルマン達が満床黙示録に頼らず賢者の石を手に入れた方法にも見当がつく。
「錬金術師の連中も、サバトやって賢者の石を手に入れたのかな?」
「と言うより、ジェネシスが作り出した賢者の石を奪い取ったのでしょう。サバトを行う為には色々と手間の掛かる準備を要します。自分達でそれをするくらいなら、勝手にやってくれる連中の成果を奪う方が簡単です」
つまりパヴァリア光明結社は、人々が犠牲になるのを黙って見て、そして目的の物が出来たらそれを横からかすめ取ったと言う事だ。悪辣なやり方に奏は反吐が出そうだった。
「そんな連中が颯人を……クソ」
――サンジェルマ
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