孤島編 悪魔の鉄人と気高き処女姫 第4話
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いた。スコーピオンの銃弾を何発撃ち込まれても傷一つ付かなかったアイアンザックの外骨格に、大きな亀裂が走る。
だが、勝負はまだ終わってはいない。
「……ぬぇえいッ!」
「くッ!?」
斬撃のダメージに苦悶の声を上げながらも、アイアンザックはその場に踏み留まり、背部に隠し持っていた刀剣を引き抜いていた。オルバスの腕が伸び切る瞬間を狙っていたアイアンザックは、横薙ぎに刀剣を振るってエンジンブレードを弾き飛ばしてしまう。
最も厄介な「得物」さえ弾いてしまえば、本体など恐るるに足らず。そう判断したアイアンザックは一気に、己の刀剣で斬り掛かるのだが――オルバスは颯爽と上に跳んで斬撃をかわしていた。
「条件が同じなら勝ち確、ってか?」
「ぬぅッ!?」
アイアンザックの頭上を取ったオルバスは、彼の頭頂に両手を乗せると、側転の要領で大きく足を広げて彼の背後にくるりと着地する。即座にアイアンザックの腰に両腕を回したオルバスは――自分より遥かに大きなアイアンザックの身体を、ジャーマンスープレックスで後方に叩き付けるのだった。
「とぉあぁあッ!」
「ごあっ、はッ……!?」
弧を描くように放り出されたアイアンザックの巨体が、シャドーフォートレス島の大地に後頭部から墜落する。あまりの衝撃による轟音が天を衝き、地面に激突したアイアンザックの鉄仮面に亀裂が走っていた。
その仮面が減り込んでいる地面も大きくひび割れており、ジャーマンスープレックスの威力を雄弁に物語っていた。あまりのダメージに痙攣するアイアンザックの手から、刀剣が滑り落ちて行く。
「……イイの入ったろ」
「ぬぐ、ぁあッ……!」
アイアンザックの腰を抱き締めながら弓なりに仰け反り、その巨体を真後ろに突き刺したオルバス。彼の技を受けた巨漢の老将は「でんぐり返し」の格好のまま、再び苦悶の声を上げている。技を仕掛けたオルバス自身は預かり知らぬことだが、この光景は先ほどの戦いでヘレンが受けた「恥辱」に対する、ある種の「意趣返し」のようであった。
「……ぬがぁあァッ!」
「うおっ……!」
だが、これだけで完全に敗北するアイアンザックではない。彼は両腕で地面を押し上げるように、その体勢から力任せに脱出していた。ジャーマンスープレックスのホールド状態から力技で逃れたアイアンザックは、オルバスやヘレンに対して距離を取るように後ずさっている。
「……さすがだな、仮面ライダー……! この『コアフォーム』の装甲を一撃で抉った上に、300kg以上もの外骨格を軽々と投げ飛ばすとは。だが……この程度では、私を止めることは出来んぞッ!」
「あっ、ちょっ……!? 待ちやがれッ!」
「逃がさなっ……あうっ!」
「アーヴィング捜査官っ!? くそっ……!」
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