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仮面ライダーAP
孤島編 悪魔の鉄人と気高き処女姫 第2話
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た父への憧れ。忠義はその憧憬を胸に、重く無骨な引き金に指を掛ける。

「……こっちもサービスしてやるよ。盛大な『花火』でな」

 刹那。大口径の銃口が火を噴き、強力な.45ACP弾が空を裂く。夜空を閃いた1発の銃弾が、トラックの燃料タンクに突き刺さり――そこから爆ぜた猛炎が、機関銃もろともその一帯を根刮ぎ焼き払って行く。火だるまと化した戦闘員達は地面に転がり、身体に付いた火を消そうとのたうち回っていた。

「うぐわぁぁあッ!」
「あ、熱い、熱いぃぃいッ!」

 改造人間そのものに銃弾が通じるケースは限られる。だが、ただ銃弾を当てるだけが実戦の勝ち方ではない。並外れた身体能力に胡座をかいた「超人擬き」を倒す方法など、いくらでもあるのだ。

「爆発だと!? 一体何が起きたッ!?」
「奴め、トラックの燃料タンクに……ッ!」

 予期せぬ事態に動揺した周囲の兵士達が、対空砲火の手を緩めたのはその直後だった。そして、彼らの手が止まった瞬間。ジャスティアドライバーがついに、一定の「加速」を検知する。

来たな(・・・)……! 変身ッ!」

 やがて、激しい衝撃音が響き渡ると。その震源地から噴き上がった猛煙を掻き分けるように――真紅の騎士が、この戦場に降臨した。大型刀剣「エンジンブレード」を携えた仮面ライダーオルバスが、ついに変身を完了させたのである。

「……変わり映えのねぇ戦闘員の群れ。そろそろ飽きたが……付き合ってやるか」

 自身を迎え撃とうと、小銃を手に迫り来る戦闘員達。彼らを眼前に、エンジンブレードの峰を肩に乗せた真紅の騎士は――仮面の下で、軽くため息を吐いていた。「多勢に無勢」という、本来なら絶望的であるはずのこの状況ですら、彼にとっては見飽きた(・・・・)景色なのである。

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