孤島編 悪魔の鉄人と気高き処女姫 第2話
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て行く。最後の一服を終えた「仮面ライダーオルバス」こと忠義・ウェルフリットは、胸の携帯灰皿にその吸い殻を収め、ドアの縁に手を掛けていた。
「森里のダンナから貰ったって言うそれ、後で俺にも1本くれよなぁ。今じゃなかなか生産されてないプレミアものだろう?」
「だったら後でちゃんと迎えに来いよ、マイク。この前みたいに、弾切れだから『便所行き』……ってのはナシだぜ?」
「ハッ……それならそっちこそ、モタモタしてないでさっさとお姫様を助けに行くんだな。……鳥になって来い! 幸運を祈るぜ!」
「……おうッ!」
そして、マイクとのそのやり取りを最後に。忠義は前方に体重を預け――そのまま夜空に身を投じて行く。パラシュートを持たず、猛烈な勢いで落下して行く彼は空中で身体を大の字に開き、腰のジャスティアドライバーにその「風」を集めていた。
彼のドライバーは一定以上の「速度」を検知することによって、変身機能が作動する仕組みになっている。普段なら専用バイクのマシンGチェイサーでその加速を得ているところなのだが、行き先が絶海の孤島となれば、この方が「疾い」のだ。
「……ッ!?」
「新手だッ! 対策室の新手が来たぞッ!」
「対空機銃用意ッ! 撃ち落としてやれッ!」
だが、ノバシェード側もマイクのヘリに気付かないほど間抜けではない。彼らはヘリから急速に降下して来た忠義を撃ち落とそうと、地上から機関銃を連射している。かなり古い年代のものを使っているようだが、それでも正常に稼働している銃器だ。当然、1発でも当たれば即死ものである。
「対策室の相手で忙しいだろうに、サービス精神旺盛だなッ……!」
忠義は落下しながら空中で身体を捻り、紙一重のところで対空砲火をかわす。まだ彼のジャスティアドライバーは、変身に足る「速度」を検知していない。変身機能が作動する前に蜂の巣にされては、本末転倒だ。
「……!」
地上が近付くに連れて、忠義を狙っている機関銃の周囲も鮮明に見えて来る。戦火に照らされた機関銃の近くには、弾薬を運搬するための大型トラックが停まっていた。
そのトラックの燃料タンクに目を付けた忠義は、高速で落下しながら太腿のホルスターに手を伸ばす。そこから引き抜かれたのは、1丁の拳銃――「M1911」。アメリカ軍に制式採用されて以来、70年以上も使われて来た45口径の自動拳銃だ。
(見てな……親父)
アメリカの騎馬警官として活躍していた父の影響を受けて以来、どの現場に赴く時も必ず携行して来た傑作拳銃。そんな「相棒」を手にして不敵な笑みを溢した忠義の銃口は、燃料タンクの位置を正確に捉えていた。
確かな信頼性と威力故、長きに渡り重宝されて来た名銃。その歴史を誇らしげに語ってい
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