孤島編 悪魔の鉄人と気高き処女姫 第2話
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拠点とされていた。
だが冷戦終結後、核兵器が全て解体されてからは戦略的価値が大きく低下。海上要塞とは名ばかりであり、現在は左遷という形で「島流し」にされた「訳アリ」の軍人達が集まる、「流刑地」と成り果てている。
人々から疎まれ、追放され、忘れ去られた者達を封じ込めるための影の要塞。そんな場所に押し込められ、隔離され、鬱屈とした日々を過ごしていた元被験者の軍人達。
彼らがノバシェードに与するようになったのも、ある意味では必然だったのかも知れない。ヘレンとしても、そんな彼らに対する同情が無かったわけではない。それでも無数の重火器を向けられてしまった以上、撃ち返すしかないのである。
「……どこまで撃たせれば気が済むのよ、あなた達はぁあッ!」
悲鳴にも似た慟哭が天を衝き、スコーピオンの銃口が火を噴く。その銃弾に撃ち抜かれた戦闘員達の断末魔が、この島に響き渡る。
誰も救われない、勝利者など居ない無益な戦い。それは銃声と爆音が耐え果てるまで続いていた――。
◆
――同時刻。シャドーフォートレス島上空を飛行している1機のヘリが、燃え盛る戦場に接近しようとしていた。闇夜を照らす激しい猛火。その赤い輝きに、パイロットの男性は飄々とした佇まいで口笛を吹いている。
「ヒューッ……! おいおい見てみろよ忠義! 対策室のお嬢様、一足先におっ始めてるみたいだぜ! 清廉そうな顔してるくせに、ヤることが派手だねぇ……!」
ヘリの男性パイロット――マイクは陽気な声を上げながら操縦桿を握り締めている。一方、忠義と呼ばれた金髪碧眼の美男子は、悪魔の力を宿した変身ベルト「ジャスティアドライバー」をその腰部に装着していた。
「……しっかし、まさかあの情報提供通りの事態が起きてたとはな……。この国の軍部も政府も、領海の管理が杜撰過ぎるぜ。島ごとノバシェードのアジトにされてたことに、1年近くも気付かなかったままだなんて……」
赤と黒を基調とする、ノースリーブの特殊戦闘服。その繊維に袖を通している美男子は、開かれたヘリのドアから「降下」しようとしている。彼の背中に、パラシュートは無い。古い銘柄の煙草を咥えている彼の蒼い瞳は、真下の島を静かに見下ろしている。
「さぁな。案外……上の連中も、分かってて泳がせてたのかもよ?」
「泳がせるって、何のためにそんなこと……」
「そんなこと俺が知るかよ。……明らかなのは、俺達がブッ飛ばすべきクソ共があの島に居るってこと。お前にとっちゃそれだけで十分じゃねぇのか?」
「ハッ……言えてるぜ」
「仮面ライダータキオン」こと森里駿から餞別にと貰っていた、稀少な煙草。その1本から立ち昇る濃厚な煙が、夜風に流され
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