孤島編 悪魔の鉄人と気高き処女姫 第1話
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女としか思えない破廉恥な格好でありながら、かなりの戦闘力を有しているとのこと……!」
「恥知らずの変態女とはいえ、奴の実力は侮れません……! 初動対応に当たっていた部隊はすでに全滅ッ……! 我々もこれより現地に向かいますッ!」
「……うむ。我々の『計画』はまだ発展途上の段階なのだ。ここで対策室や新世代ライダー共に邪魔されるわけには行かん。如何なる手段も厭わず、確実に排除するのだ。……好きに嬲っても構わんぞ。お前達も長いこと、『女日照り』だろうからな」
「ハ……ハッ、了解しました!」
その途中、声を掛けて来た幹部クラスの男達に対して一瞥もせず、司令官の男は淡々と「命令」を下している。ヒグマのような巨漢である彼の威圧感に圧倒されつつ、「命令」を受けた男達は各々の部下を引き連れてこの場を後にしていた。
そんな彼を見送ろうともしないまま、司令官の男はズシンズシンと重厚な歩みを進めて行く。やがて彼は「ICBMR」と記載された自動ドアを開き、広大な格納庫の最奥へと辿り着いていた。そんな彼の眼前には――全長約3mにも及ぶ、巨大な鉄人が佇んでいる。
額からV字に伸びる2本のアンテナ。凶悪に吊り上がった複眼状のツインアイ。そして、昆虫の牙を想起させる顎部装甲。
禍々しい印象ではありつつも、その鉄人の貌は明らかに「仮面ライダー」の普遍的なイメージを模している。しかしその攻撃性を剥き出しにしたデザインは、到底「ヒーロー」と呼べるものではない。さながら、破壊を司る邪神像のようであった。
「……新世代ライダーでも、ジャスティアライダーでもない。この私の『スパルタン』こそが……唯一無二。真の『仮面ライダー』となるのだ……!」
その鉄人の巨体を仰ぐ司令官の男は、身体を覆っていた黒マントをばさりと開きながら、太く逞しい両腕を広げている。開かれたマントの下には、白銀を基調とする重厚な強化外骨格が隠されていた。彼自身は紛れもない「人間」なのだが――狂気に歪んだその笑みは、どんな「怪人」よりも悍ましい邪悪さに満ち溢れている。
◆
――今から約11年前。新世代ライダー達やジャスティアライダー達よりも遥かに早く誕生していながら、その存在を抹消された影の仮面ライダー達が居た。
その「最後の残滓」が今、この現代に甦り。人類に仇なす怪人として、人々に牙を剥こうとしている。存在を疎まれ、消された者達が集まるこの北欧の孤島――シャドーフォートレス島で。
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