第百八話 残暑が終わりその四
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「何でもな」
「そうよね」
「家に帰るのだってな」
「大雨の時でも」
「止むのを待てないならな」
そうした場合はというのだ。
「もうな」
「大雨に遭ってでも」
「帰ってな」
そしてというのだ。
「家ですることをしないと駄目だ」
「そういうことね」
「そうだ、本当にな」
まさにというのだ。
「物事はな」
「悪いタイミングでも」
「しないといけない時があるんだ」
「それでもなのね」
「諦めないでやり繰りもしてな」
そのうえでというのだ。
「そんな時もあるんだ」
「そうなのね」
「ああ、ただな」
「ただ?」
「問題はな」
それはというと。
「進んで悪い時にすることはな」
「駄目ね」
「そうだ、例えば大雪の時に試合をするとかね」
「試合ね」
「野球とかサッカーのな」
こうしたスポーツのというのだ。
「そんなのはすることないだろ」
「そうよね、普通はね」
「大雪だとそんなことしないな」
「大雨だってね」
この季節もとだ、咲は答えた。
「ないわね」
「だから今日神宮で試合ないな」
「横浜とのね」
「条件が悪い時試合なんてな」
スポーツの屋外のというのだ、ドーム球場がない時代では雨が降る即ち試合が中止になるということだった。
「普通はな」
「しないわね」
「いいことはないからな」
「選手にとってもお客さんにとっても」
「球場で働いている人達にとってもな」
即ち誰にとってもというのだ。
「だからな」
「しないことなのね」
「そうだ、だからな」
「タイミングが悪い時に進んでは」
「しないことだ」
「いいことはないから」
「それも大事なんだ」
「そうなのね」
「そのことを覚えておいてくれよ」
「そうするわ」
咲は父の言葉に頷いた、そしてだった。
紙パックの梅酒を出してだ、父に言った。
「飲む?」
「今日はそれ飲むのか」
「梅酒ね」
コップに氷を入れつつ話した。
「これ飲むわ」
「そうするんだな」
「お母さんが賞味期限近いから」
それでというのだ。
「早くね」
「飲んでか」
「捨てる訳にもいかないからね」
「そうか、じゃあな」
「今から飲むわね」
「それじゃあな、しかし咲も色々飲むな」
「強いお酒は無理よ」
こう父に返した。
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