第二十五章
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相川達が来たのはたこ焼き屋と鯛焼き屋の前だった。近くの駐車場にバイクと車を止めここまで来た。相川はそこに来るとたこ焼きを焼いている若い男のところに来た。
「どんどん焼いてくれないか」
にこりと笑ってその若い男に声をかけると彼は笑顔でそれに応えてきた。
「ああ、あんた久し振りやな」
「元気そうやん」
すると鯛焼きを焼いている女も言ってきた。どうやら知り合い同士のようだ。
しかし三人はその若い男の顔を見て口から心臓が出かねない程驚いた。何と彼の顔は相川と全く同じだったからだ。
「ど、どういうことなんだよこれは」
「ドッペルゲンガー!?」
禍木と三輪が驚いて声をあげる。
「これってまさか」
「いや、ひょっとしたらワームの擬態かも知れないぞ」
志村は慌ててベルトに手をやっていた。
「それで始さん達はここに」
「馬鹿を言え」
相川が狼狽しきりの三人に対して言ってきた。
「彼は了だ。このたこ焼き屋の主だ」
「はあ」
「そうだったんですか」
それを言われてもまだ信じられない。あまりにもよく似た顔であったからだ。
「世の中そっくりさんっていますからね、まあ」
志村は呆然としながらもそう述べる。
「僕だって何か昔いじめっ子に似てるとか関西弁話すアイドルに言われたし」
「志村さんそういうこと全然しないのにね」
「変な話だよ」
三輪と禍木はそれを聞いて志村に声をかける。見れば志村は二人の間に立って戸惑った顔を見せていた。
「それでこの人が了さんの奥さんの未知さんだ」
「よろしゅう」
鯛焼きを焼いていた若い女が挨拶をしてきた。
「うちも了も鯛焼きとたこ焼きは誰にも負けへんよ」
「俺のたこ焼きは宇宙一や」
了はたこ焼きを焼きながら誇らしげに語る。見れば彼の手の中でたこ焼きが次々にできていっている。未知の鯛焼きを焼く手際も見事であった。
「さあ、どんどん食え」
橘は三人に勧めてきた。見れば剣崎達はもう食べている。
「美味いぞ」
「あっ、本当だ」
「それもかなり」
三人は剣崎達に勧められたたこ焼きと鯛焼きを食べて応える。確かにそれはかなり美味かった。病み付きになる程であった。
「美味しい」
「それもかなり」
「どやっ」
それを聞いた了が誇らしげに三人に顔を向けてきた。そのうえで言う。
「俺のたこ焼きは天下一や」
「うちの鯛焼きもな」
「まさかと思ったけれど」
「こんなに美味しいなんて」
三人は驚きを隠せない。そんな彼等に上城が声をかけてきた。
「このたこ焼きと鯛焼きを食べてみたくなったからだ」
相川はそう三人に対して言う。
「それで寄った。どうだ」
「どんどん焼くからな。どんどん食べてや」
「遠慮はいらんで」
「いや、流石にこのたこ焼きと鯛焼きは真似で
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