第二章
[8]前話
「何でも練習したらね」
「よくなるんだ」
「お兄ちゃんのお勉強もよ」
彼が得意なそれもというのだ。
「お兄ちゃん毎日お勉強してるでしょ」
「そうだよね」
「だからね」
「お兄ちゃん勉強出来るんだ」
「そうよ、知能指数だって」
俊彦が気にしているそれもというのだ。
「そうした訓練受けてるとね」
「よくなるんだ」
「確かに人によって差があるけれど」
このことは事実だがというのだ。
「そんなに変わらなくてね」
「訓練でなんだ」
「変わるのよ、だからね」
そうしたものだからだというのだ。
「気にすることじゃないわよ」
「そうなんだ」
「気にすることはね」
それはというと。
「ちゃんとやること。サッカーもお勉強もね」
「練習がなんだ」
「一番大事でね」
それでというのだ。
「あんたももっとサッカー上手になりたいなら」
「練習することだね」
「そうよ、いいわね」
「わかったよ」
「ただいま」
ここで兄の助清が帰ってきた、兄は家に帰るとすぐに自分の部屋に入って勉強をはじめた。そうしてだった。
早苗は勇気が家に帰ると俊彦が言ったことを話したが。
夫は妻にだ、まさにという顔で答えた。
「そうなんだよな。知能指数って個人差の違いでしかないんだよ」
「そうよね」
「訓練や生活環境でね」
そうしたものでというのだ。
「何とでもね」
「変わるわね」
「アメリカで知能指数が人種で決まるって言った人がいたけれど」
妻にこの事例の話もした。
「白人至上主義を言いたかったみたいだけれど」
「違ったのね」
「その白人よりアジア系の方が知能指数は高かったし」
その調査結果が出たというのだ。
「やっぱり環境とか訓練でね」
「人種に関わらずなのね」
「上がることが別の研究でもわかったし」
「知能指数は絶対じゃないわね」
「どうとでもなるものだよ」
それこそというのだ。
「だからね、奥さんが俊彦に言った通り」
「気にするものじゃないわね」
「そうだよ、そんなことより努力だよ」
夫はこうも言った。
「本当にね」
「そういうことね」
「そうだよ」
確かな声で言った、そしてだった。
夫は野球の試合を観た、そこで佐藤輝明選手が巨人投手陣から四打席連続アーチを放ったのを見てサトテルも練習で成長したと笑顔で言ったのだった。妻もそうねと笑顔で応えた。見れば巨人は今日も二十点差で負けていた。
知能指数はあてにならない 完
2023・7・22
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